最新記事
日韓関係

就任直後から異例のサナエシフト?  韓国・李在明政権が急ぐ日韓接近の「裏事情」

2025年10月30日(木)19時25分
佐々木和義
初の首脳会談で握手する李在明大統領(右)と高市早苗首相

初の首脳会談で握手する李在明大統領(右)と高市早苗首相 YTN / YouTube

<「靖国」発言の高市首相を異例の歓迎。背景には韓国経済の苦境と国際情勢の激変があった>

第104代内閣総理大臣に選出された高市早苗首相は10月30日、アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議出席のため韓国・慶州を訪問し、李在明(イ・ジェミョン)大統領との就任後初の首脳会談に臨んだ。歴史問題について強硬な姿勢を取り、これまで韓国世論を逆なでする言動を繰り返してきた高市氏の就任にもかかわらず、両首脳は相互訪問する「シャトル外交」の継続と未来志向の関係発展に向けて歩みを進めることを確認した。

この日韓関係の友好を堅持する姿勢は、高市内閣発足直後から始まっていた。なぜ韓国政府は、高市政権をこれほどまでに歓迎する姿勢を見せるのか。その背景には、国際情勢の変化と韓国経済の苦境があった。

高市政権誕生直後から異例の対応

高市新内閣が発足した10月21日、韓国大統領室の高官である魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長が日本を訪れたことが確認された。日本で新しい首相が就任すると、韓国政府は大統領室か外交部が祝意を伝えるのが通例で、大統領室高官が訪日するのは異例中の異例である。

魏室長は外交官として北米局長や駐ロシア大使などを歴任し、2022年の大統領選で李在明陣営に加わった。李在明外交のブレーンといえる魏室長は10月22日、麻生太郎自由民主党副総裁と会談を行って、李在明大統領の韓日協力に対する意志を伝え高市内閣への協力を要請したという。

21日午後、首班指名選挙で高市氏が第104代内閣総理大臣に選出されると、韓国大統領室は「新首相と活発な交流が続くことを希望している」と表明。李在明大統領も自身のSNSで「アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議が開かれる韓国慶州市で会談し、建設的な意見交換を行うことを楽しみにしています」と韓国語と日本語で投稿。両国首脳が相互訪問する「シャトル外交」を継続して意思疎通を行う考えを示した。

ビジネス
暮らしの安全・安心は、事件になる前に守る時代へ。...JCBと連携し、新たな防犯インフラを築く「ヴァンガードスミス」の挑戦。
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ECB、3会合連続で金利据え置き 今後の道筋示さず

ビジネス

米メタ、250億ドルの社債発行へ 最長40年債も=

ビジネス

エヌビディアCEO、サムスン・現代自会長と会談 A

ワールド

イスラエル軍、ガザで新たな攻撃 ハマスは人質2遺体
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面に ロシア軍が8倍の主力部隊を投入
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 8
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 9
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 10
    【クイズ】開館が近づく「大エジプト博物館」...総工…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」にSNS震撼、誰もが恐れる「その正体」とは?
  • 4
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 10
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中