最新記事
イスラエル

イスラエル国内でも、全国でハマスとの戦闘終結求める抗議活動発生

2025年8月18日(月)09時20分
イスラエルのラトルンで高速道路を封鎖するデモ参加者ら

8月17日、イスラエルで、ネタニヤフ首相に対してイスラム組織ハマスとの戦闘を終結し、パレスチナ自治区ガザでハマスに拘束されているイスラエル人の人質の解放を求める数千人規模の全国的な抗議活動が展開された。写真はイスラエルのラトルンで高速道路を封鎖するデモ参加者ら(2025年 ロイター/Ronen Zvulun)

イスラエルで17日、ネタニヤフ首相に対してイスラム組織ハマスとの戦闘を終結し、パレスチナ自治区ガザでハマスに拘束されているイスラエル人の人質の解放を求める数千人規模の全国的な抗議活動が展開された。

参加者はイスラエルの国旗を振りかざし、人質の写真を掲げ、笛や自動車のクラクション、ドラムの音を響かせながら行進した。参加者の一部は高速道路などを封鎖し、首都エルサレムと商都テルアビブを結ぶ幹線道へも進入して車の通行を阻止した。


イスラエルの警察は17日午後2時(GMT1100)時点で38人の参加者を拘束したと発表。道路を封鎖していた一部の参加者は警官と小競り合いを起こし、警官に連行された。

ネタニヤフ氏は内閣のメンバーに対して「現時点でハマスを打倒せずに戦争の終結を呼びかけることは、ハマスの立場を硬化させ、人質の解放を遅らせるだけではない。(ハマスによるイスラエルへの大規模攻撃があった2023年)10月7日の惨劇が何度も繰り返されるだけだ」と主張した。

人質のマタン・アングレストさんの母親、アナト・アングレストさんはテルアビブの公共広場での記者団に対して「本日は最も重要な価値である『命の尊厳』を思い出すため、全てを止める日だ」と語った。

ハリウッド映画「ワンダーウーマン」で主演したイスラエルの俳優、ガル・ガドットさんもテルアビブで人質の家族と面会した。

一部の企業や団体はこの日に先立ち、人質の家族が呼びかけた全国的な抗議活動への従業員の参加を許可すると表明した。一部の企業は休業したものの、イスラエルでは日曜が平日のため多くの企業は営業した。学校は夏休み中で影響はなかった。

ガザの保健当局によると、イスラエルのガザ攻撃で6万1000人を超えるパレスチナ人が死亡。今月16日には29人が死亡したと17日に発表した。

一方、ハマスがイスラエルを攻撃した際には約1200人が死亡し、251人がガザに連行された。ガザで武装勢力に拘束されている人質は50人おり、イスラエル当局はうち約20人が生存していると推定している。

戦闘により、ガザで400人を超えるイスラエル兵が命を落とした。

テルアビブでの集会に参加した最大野党「イェシュ・アティド」のヤイル・ラピド党首は「X」で抗議活動への支持を表明し、「本日イスラエルの団結のために外出した人々の素晴らしい精神が、この国を強固にする唯一の方法だ」と投稿した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2025トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年10月7日号(9月30日発売)は「2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡」特集。投手復帰のシーズンも地区Vでプレーオフへ。アメリカが見た二刀流の復活劇

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

テスラ第3四半期納車が過去最高、米の税控除終了で先

ビジネス

ホンダ、ブラジルの二輪車工場に440億円投資 需要

ビジネス

マクロスコープ:生活賃金の導入、日本企業に広がる 

ワールド

米政権が「麻薬船」攻撃で議会に正当性主張、専門家は
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 3
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 4
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 5
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 6
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」…
  • 7
    1日1000人が「ミリオネア」に...でも豪邸もヨットも…
  • 8
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 9
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 10
    AI就職氷河期が米Z世代を直撃している
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 4
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 5
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 6
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 8
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 9
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 10
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中