最新記事
メディア

【ガザ】メディアが作った衝撃「飢餓」写真

How a viral image is fueling the fight over reports of starvation in Gaza

2025年7月29日(火)18時44分
トム・オコナー
栄養失調の症状を示すガザの子ども

栄養失調の症状を示す18カ月のパレスチナ人男児。大量に出回るようになったこうした写真の中には「偽物」もあることが明らかになった(7月25日、ガザのシャティ難民キャンプ) Photo by Majdi Fathi/NurPhoto

<極度に痩せ細って「飢餓の象徴」となった子どもは栄養失調だけでなくもともと重い病を抱えていたことが明らかに。メディアの「偽造」はガザを救わない>

先週は、深刻な栄養失調の状態にあると見えるパレスチナ人の幼い子どもの写真がメディアに多く出回り、ガザ地区における人道危機の新たな象徴となっている。ガザ地区ではイスラエルとイスラム組織ハマスの戦争が続いており、停戦に向けた取り組みも失敗に終わっている。

これらの写真は一方で、激しい論争も巻き起こしている。とくに母親に抱かれた子ども、ムハンマド・マトゥークの写真は、飢餓の象徴として注目された。

だが極度に痩せ細っているのは栄養失調だけでなく、この子どもには基礎疾患もあると指摘する声が多く、まだ問題の写真からは「痩せ細っていない」兄の姿が意図的に切り取られているという主張も浮上している。

ガザ地区に暮らすパレスチナ人の悲惨な生活環境がますます悪化していることを否定する者はほとんどいない。だがイスラエルの当局者やイスラエルが掲げる戦争目標を支持する者たちは、ガザ地区にまん延する飢餓に関する報道が、ハマスにとって都合のいいストーリーに沿うように誇張されていると主張する。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は7月27日、「ガザに飢餓はない。ガザで飢餓を発生させる政策も存在しない。我々は戦争目標の達成に向けて全力を尽くしている」と宣言した。

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ECBが金利据え置き、4会合連続 インフレ見通し一

ワールド

ロシア中銀、欧州の銀行も提訴の構え 凍結資産利用を

ビジネス

英中銀、5対4の僅差で0.25%利下げ決定 今後の

ワールド

IS、豪銃乱射事件「誇りの源」と投稿 犯行声明は出
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 2
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 6
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 7
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 8
    円安と円高、日本経済に有利なのはどっち?
  • 9
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 10
    欧米諸国とは全く様相が異なる、日本・韓国の男女別…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中