「安全なのは強者だけ」...止めるはずが核拡散を逆に招いた、イスラエルとアメリカの「愚かな力の論理」
AN IRANIAN BOMB JUST BECAME MORE LIKELY
ただしIAEAは5月末の報告書で、イランに「現在進行中の未申告で体系化された核計画が存在することを示す、信頼できる兆候はない」と結論付けている。
にもかかわらず、アメリカとイスラエルは、IAEAの保障措置下にあり、核拡散防止条約(NPT)に基づいて監視されていたフォルドゥ、ナタンズ、イスファハンの核関連施設を攻撃。核兵器開発を防ぐための合法的な検認の枠組みを自ら破壊してしまった。
今回の攻撃はIAEAによる査察体制の権威を損なっただけでなく、NPTが定める核の平和利用の原則を侵害し、国連憲章を含む国際法にも違反している。
かつてのイラクと同じ道を進む
相手国の体制転覆を狙って戦争を仕掛けてきた核超大国アメリカと、NPT加盟を拒否する陰の核保有国イスラエルは今回、「ルールに従うのは弱者だけ」「安全なのは強者だけ」という明白なメッセージを発した。
実際、核兵器を保有していれば、国際法を破っても構わないのだ。
外交が頓挫し、査察への信頼が消え、強制手段が常態化し、ダブルスタンダードが容認されている現状で、「核を持たないほうが賢明で、戦略的にも実行可能だ」とイランを説得する手段は残されているのだろうか。
核保有以外に自国を守る方法はないとイランが判断するのは、ほぼ確実だ。イランにとっては、IAEAの枠組みを離脱して、核兵器開発に向かって突き進むべき理由は山ほどある。