「韓国のトランプ」李在明、ポピュリズムで掴んだ勝利の代償とは?

SOUTH KOREA’S TRUMP

2025年6月6日(金)15時42分
木村 幹(神戸大学大学院国際協力研究科教授、本誌コラムニスト)

newsweekjp20250605070143.jpg

少年時代の李在明 PUBLIC DOMAIN

しかし、ここでその活動に限界を感じた彼は、自らの理想を現実にするためには政治家になる必要がある、と考え政界に入門。2006年の城南市長選挙、08年の国会議員選挙に立候補して共に敗北した後、10年の統一地方選挙で再度城南市長選挙に立候補して、当選を果たす。

その後2期8年にわたって同市長を務めた彼は、ここで満24歳の全ての若者に四半期ごとに地域通貨で25万ウォンを年4回支給する「青年配当」を試験的に行い、ベーシックインカムにつながる政策の主唱者として脚光を浴びる。

そしてこの政策による人気を基礎に17年の共に民主党の大統領選予備選に参戦し、演説における相手陣営に対する激しい批判から、「韓国のトランプ」との異名を与えられる。この選挙で文在寅に敗れた後、18年に韓国最大の地方自治体である京畿道の知事に就任。

その後21年、再度の大統領選立候補のために道知事を辞し、共に民主党の大統領候補に選出されるものの、22年に尹に惜敗したのは記憶に新しい。


その後、同年6月に行われた補欠選挙で国会議員に初当選した彼は、わずか3カ月足らずで党代表に就任し、共に民主党の次期大統領候補としての地位を確固たるものとする。

そして、25年4月の尹の大統領罷免を受けて行われた大統領選で、国民の力候補者の金文洙や改革新党の李俊錫(イ・ジュンソク)を破って当選──となる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国はレアアースの厳格な輸出管理継続=在中国EU商

ワールド

カーク氏射殺後も「冷静さ呼びかけず」、州知事がトラ

ビジネス

ノボノルディスク肥満治療薬、睡眠障害など幅広い用途

ワールド

インドネシア国会、中銀の成長支援役割強化などで法改
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 8
    「なにこれ...」数カ月ぶりに帰宅した女性、本棚に出…
  • 9
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中