韓国大統領選、保守王国でもイ・ジェミョン猛追 討論会で勝利したのは知日派の意外な候補
ほぼ無名のクォン候補が存在感示す
議論は黄色封筒法(労働組合の団体交渉権保護法)や脱原発政策など様々なテーマに及び、キム候補がイ・ジェミョン候補を「親中・反米」と批判するなど激しい応酬が交わされた。
しかし、討論会後にネットでのリアルタイムキーワード検索で最も注目を集めたのは、ほぼ無名に近かった民主労働党のクォン・ヨングク(權英國)候補だった。「進歩派の大統領」を掲げるクォン候補は、キム・ムンス候補を「尹錫悦の代理人」と厳しく批判し、「ユン・ソンニョルのために行われる選挙なのに、何の資格でここに出てきたのか」と鋭く質問。また、イ・ジェミョン候補に対しては差別禁止法についての明確な立場表明を求めるなど、鋭い発言で討論会を席巻し存在感を示した。
そして討論会終了後に驚くことが起きた。他の候補者たちが互いに握手を交わすなか、クォン候補はキム候補が求めた握手を拒否し、代わりに両手を胸の前で合わせる「合掌」のポーズを取った。後日ラジオ番組でクォン候補は、「(ユン政権の問題についてキム候補が国民に)謝罪しないのに握手をすることが、相手を認めたという印象を与えると思った」と説明している。この一連の行動も選挙戦に新たな話題を提供した。
クォン候補は鉱夫の息子として生まれ、浦項工科大学とソウル大学金属工学科を卒業後、豊山グループで働いていたが、同僚の労働災害死に抗議して解雇された経歴をもつ。その後、日本の徳島大学への留学を経て司法試験に合格。労働者を弁護する「街の弁護士」として活動し、民主労総法律院長なども務めてきた。
討論会以降、クォン候補を擁する民主労働党によると806人から約6200万ウォン(約650万円)の寄付金が寄せられ、「あなたが描く世界に私が見えました」「差別禁止法を語るクォン・ヨングク候補を支持します」などの応援メッセージが数多く届いたという。
保守系候補の一本化は実現するか
テレビ討論会で激しく対立した各候補だが、選挙戦終盤の変数として、キム候補とイ・ジュンソク候補による保守系候補の一本化の可能性も浮上している。キム候補は「イ・ジュンソク候補と私たちはまったく違うところがない」と述べ、一本化への意欲を示しているが、イ・ジュンソク候補は「一本化の手続きや過程自体が非常に旧態依然に見える」として否定的な立場を取り続けている。
25日には投票用紙の印刷が始まるため、一本化が実現するとすれば今週中に交渉に進展がなければならないと見られている。政界では、現在は立場の違いが明確だが、今後変化の可能性もあるとの観測も出ている。
次のテレビ討論会は23日に「社会」をテーマにKBSイ·ユンヒ記者の司会で、27日には「政治」をテーマにMBCチョン·ジョンファン・アナウンサーの司会で行われる予定だ。