ガザに訪れる?平和への第一歩...トランプが貢献した2つの停戦へのポイント

First Steps to Peace

2025年1月22日(水)11時22分
フレッド・カプラン(スレート誌コラムニスト)

newsweekjp20250121035248-025b891e23042b843bfcebed83ad15d63f25b4d7.jpg

人質全員の解放を求めるイスラエル市民(1月15日) MATAN GOLANーSOPA IMAGESーREUTERS

バイデン陣営とトランプ陣営の主張は、どちらも一理ある。

確かに、バイデンの外交チームは1年以上にわたり、何度となく中東諸国を訪問して停戦の地ならしをしてきた。だが、トランプの大統領復帰直前に合意がまとまったのは、偶然ではないだろう。

14日付の現地紙タイムズ・オブ・イスラエルは、「2人のアラブ諸国政府高官」の言葉として、トランプが次期中東担当特使に任命したスティーブ・ウィトコフは「1回の会合で、バイデン政権がこの1年間にやったよりもはるかに大きく(ネタニヤフを)揺さぶった」と報じている。


トランプへの大きな借り

具体的にウィトコフがネタニヤフに何と言ったかは分かっていないが、ネタニヤフはもともと、バイデンや民主党のどの大統領とよりも、トランプと親しい関係にある。

それでも、改めてトランプに忠誠を示す必要があることも理解しているはずだ。

トランプは1期目に、イランで英雄として知られた革命防衛隊のガセム・ソレイマニ司令官を殺害させたが、ネタニヤフは計画の途中で手を引いた経緯がある。

もしかするとウィトコフは、このときのことを持ち出して、ネタニヤフはトランプに借りがあると迫ったのかもしれない。

バイデン政権は、ガザに人道援助のための安全なルートの設置を求めるなど、民間人の犠牲者を減らすようネタニヤフに迫り、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸のユダヤ人入植者の一部に制裁を科し、パレスチナに国家の地位を与える目標も堅持した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米ウクライナ首脳、日本時間29日未明に会談 和平巡

ワールド

訂正-カナダ首相、対ウクライナ25億加ドル追加支援

ワールド

ナイジェリア空爆、クリスマスの実行指示とトランプ氏

ビジネス

中国工業部門利益、1年ぶり大幅減 11月13.1%
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中