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拡大BRICSは世界秩序を民主化する原動力になれる

THE BRICS EFFECT

2024年10月28日(月)12時22分
ブラマ・チェラニ(インド政策研究センター教授)

5カ国だけの時期にも、共通の利益に基づいて共通の行動計画を策定することは難しかった。今後、共通のアイデンティティーと政策課題を確立させるためには、息の長い努力が必要だろう。

BRICSには、かなりの持久力がある。欧米のアナリストらは当初から、BRICSはいずれ崩壊するか、無意味な存在になると予測していた。しかし10月下旬にロシア中部の都市カザンで開催された拡大後初となる首脳会議を経て、BRICSプラスは一層の拡大に向けて動きそうだ。同時にこの会議の開催は、ウクライナに侵攻したロシアを孤立させようという西側諸国の努力が失敗したことを示す。


ただし原加盟5カ国の間でも、根本的な目標について合意があるわけではない。中国とロシアは、アメリカ主導の世界秩序に正面から挑もうとしている。だがブラジルとインドは国際諸機関の改革を求めることに重点を置いており、反欧米路線で突き進んでいるわけではない。

この状況に、加盟国の増加が変化をもたらすかもしれない。9カ国のうち新規加盟の4カ国を含む6カ国が非同盟運動(NAM)に正式加盟しており、ブラジルと中国の2カ国がオブザーバー参加している。BRICSプラスには欧米諸国に挑戦するというより、世界秩序の民主化に重点を置く中道派という内なる力があるように思える。

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