最新記事

TikTok

「TikTok」巡る公聴会、ただ蹴散らされるために呼ばれたCEO...向けられた「疑い」と「敵意」

Loving and Hating TikTok

2023年3月28日(火)13時50分
ニティシュ・パーワ

230404p38_TIK_02.jpg

アメリカ国内での事業継続を訴える動きも EVELYN HOCKSTEINーREUTERS

米バイデン政権は親会社のバイトダンスに、TikTokの売却を迫っていた。しかし中国商務省の報道官は23日、売却する場合は中国政府の許可が必要だと主張した。

公聴会でマイケル・バージェス議員は、中国側のこの動きがアメリカ側の求める親会社からの事業分離の妨げになるかどうかや、バイトダンス関係者が公聴会に向けてチョウの「準備」を手伝ったかについて尋ねた。チョウは、あらゆる方面から激励のメッセージや助言を受け取ったとだけ答えた。

アンナ・エシュー議員は、既に中国側が握っている米ユーザーのデータが今後、アメリカ事業専用の保管庫に移されることをどう保証できるのかと尋ねた。チョウは中国が今もこれらのデータを持っている「証拠は一切ない」と主張。これに対してエシューは「ばかげてる!」と述べた。

中国共産党への協力を企業に義務付ける中国の法律は、TikTok動画の共有・宣伝方法にどこまで影響するのかという質問もあった。チョウは「多くの企業と同様、当社もグローバルな労働力に頼っている」と言うだけだった。

議員らはワシントン・ポストなど主要紙の報道を引用し、TikTokの動画も質問の中で使ったが、新たな証拠を示すことにはならなかったようだ。

今後へ明確なメッセージ

バイトダンスの他のアプリについて、委員会はそれほど関心を払っていないようだった。質問の対象になった他のアプリは、ほとんどがTikTokの中国版、抖音(ドウイン)だった。

リチャード・ハドソン議員は、TikTokと抖音は「接続」しているのか、抖音から米国内のデータにアクセスできるのかと質問。これに対してチョウは、プロジェクト・テキサスの終了後は、いずれのアプリもファイアウォールで完全に保護されると約束しただけだった。

一方で、中国政府が関与している可能性のあるさまざまな問題も取り上げられた。

TikTokのソースコードは誰が書いたのか。バイトダンスがTikTokの所有権を保持すべきと党に言われたら異議を唱えられるか。TikTokとバイトダンスから、チョウはどのような報酬を得たのか。TikTokは党のプロパガンダを発信する役目を担っているのか。TikTokの「あらゆる情報が中国で見られている」という元社員の指摘をどう思うか。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

イラン大統領と外相搭乗のヘリが山中で不時着、安否不

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 5

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 6

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 7

    「すごく恥ずかしい...」オリヴィア・ロドリゴ、ライ…

  • 8

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 9

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 10

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中