最新記事

北朝鮮

北朝鮮のミサイル実験が止まらない──もっと怖い北朝鮮の誤解と「新・核戦略」

2022年11月7日(月)10時25分
ジェームズ・アクトン(カーネギー国際平和財団核政策プログラム共同責任者)/アンキット・パンダ(同シニアフェロー)
北朝鮮のミサイル発射

北朝鮮のミサイル発射を報じる韓国のテレビ(11月2日、ソウルの街頭で)KIM JAE-HWANーSOPA IMAGESーLIGHTROCKET/GETTY IMAGES

<11月2日、過去最多の23発以上のミサイルを発射した北朝鮮。ミサイル実験以上に警戒すべき動きとは何か。また、韓国が再考すべき姿勢とは?>

北朝鮮のミサイル実験が止まらない。今年は、早くも年間の発射件数が過去最多を更新。11月2日には、1日当たり過去最多の23発以上ものミサイルを発射した。米政府当局者たちは、北朝鮮がいつ核実験を行っても不思議でないとも考えている。

しかし、北朝鮮はミサイル実験以上に警戒すべき動きも見せている。9月に核兵器に関する方針を改訂し、自国の核戦力の指揮命令系統への攻撃が差し迫っていると判断できれば、核兵器を使用するものと定めたのだ。

北朝鮮がその能力を既に持っているかは不明だが、憂慮すべき状況であることは間違いない。北朝鮮が不正確な情報や誤解により核を使用するリスクが現実味を帯びている。

北朝鮮が核兵器の使用条件を変更した理由は明白だ。まず、米政府当局者たちはこの10年ほど、ミサイルを「発射前」に破壊すると、しばしば口にしてきた。要するに、ミサイルが飛ぶ前に敵の核戦力をたたく、というわけだ。

北朝鮮としては、核戦力の指揮命令系統が破壊されれば、最高指導者の金正恩(キム・ジョンウン)が核攻撃の命令を下せなくなって、核兵器を用いる前に核戦力を破壊されかねない。

北朝鮮側がもう1つ恐れているのは、金の命が狙われることだ。北朝鮮は、これまでのアメリカの戦争のやり方を研究してきた。

アメリカは2003年のイラク戦争初期に、イラクの独裁者サダム・フセインを殺害しようとした。このときフセイン殺害計画は失敗に終わったが、北朝鮮は警戒心を募らせているようだ。

しかも、韓国もこの10年近く、北朝鮮が核兵器を使用した際に金を殺害するための戦略を練っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イランの核兵器保有決して容認せず、「最も破壊的な勢

ビジネス

トランプ氏、利下げ再要求 実質的に全ての物価が下落

ワールド

中国・ブラジル首脳、自由貿易重視で一致 北京で会談

ワールド

トランプ氏、対シリア制裁解除と表明 暫定大統領と1
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因は農薬と地下水か?【最新研究】
  • 3
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」にネット騒然
  • 4
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 5
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 6
    「がっかり」「私なら別れる」...マラソン大会で恋人…
  • 7
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 8
    トランプは勝ったつもりでいるが...米ウ鉱物資源協定…
  • 9
    「奇妙すぎる」「何のため?」ミステリーサークルに…
  • 10
    「出直し」韓国大統領選で、与党の候補者選びが大分…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 6
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 7
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 8
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 9
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中