最新記事

脱走兵

プーチンが部分動員したロシア兵、もうウクライナに投降か

Conscripted Russian Soldier Immediately Surrenders to Ukraine Forces

2022年9月29日(木)16時31分
イザベル・ファン・ブリューゲン

部分的動員令で集められた徴集兵(9月28日、ロシア南部ヴォルゴグラード州ヴォルシフスキー) REUTERS

<動員され戦場に派遣されて5日、戦場の所属部隊から脱走し、道に迷ったところをウクライナ軍が捕らえた、とウクライナ高官は言う>

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が9月21日に出したばかりの「部分動員令」で5日前に招集された兵士が、早くもウクライナ軍に投降したらしいことが分かった。

ウクライナ内務省のアントン・ゲラシチェンコ顧問は、27日にメッセージアプリ「テレグラム」に動画を投稿した。5日前に、ウクライナと国境を接するロシア西部のロストフから動員されたロシア兵とされる人物の動画で、部分動員令によって招集された兵士がウクライナで投降した初めての例だと説明している。

「(ウクライナ東部の)クプヤンシク近郊の森で、ウクライナ軍の第92旅団が凍えて怯え切った『動員兵』を捕らえた。所属部隊から脱走し、ロシアに戻ろうとしたが道に迷った兵士だ」と説明している。

ロシアの脱走兵とされる男は動画の中で、自分は部分動員令でロシア軍に徴兵されたと語った。またウクライナとの戦闘ではロシア側に多くの犠牲者が出ていると述べ、ロシア政府のプロパガンダに耳を傾けてはならない、ウクライナとの戦闘に参加してはならないと呼びかけた。

始まった動員兵の配備

またこの脱走兵は、自分は戦場に派遣されて3日目にウクライナ軍に捕らえられたと述べ、所属部隊の司令官には一度しか会っていないとも語った。

本誌は、問題の動画の信ぴょう性や、動画がいつ・どのような状況下で撮影されたのかについて独自に確認できておらず、ウクライナ国防省に問い合わせを行っている。

ウクライナ軍参謀本部は先日、フェイスブックのページに行った投稿の中で、ロシア軍の犠牲者が増え続けるなか、適切な訓練を受けていないロシア兵が戦場に派遣されていると指摘していた。

「部分動員令の一環として招集された兵士たちが、ロシア軍の各部隊に配備され始めている」と同省は投稿の中で述べ、新たにウクライナに配備される兵士たちは、事前の訓練を受けていないと指摘した。

さらに投稿は「ロシアの軍と政府の指導部は、部分動員令に加えて(各地方の首長が自主的に動員を行う)『自主動員』の呼びかけを続けている」と述べた。「罪を犯して有罪評決を受けた者も動員され、既にウクライナでの戦闘に加わっている」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:日銀「地ならし」で国債市場不安定化、入札

ワールド

EXCLUSIVE-中国のレアアース輸出、新規ライ

ビジネス

野村HD、成長フェーズ入りに手応え 2030年目標

ビジネス

英中銀、銀行の自己資本比率要件を1%引き下げ 経済
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 2
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯終了、戦争で観光業打撃、福祉費用が削減へ
  • 3
    【クイズ】1位は北海道で圧倒的...日本で2番目に「カニの漁獲量」が多い県は?
  • 4
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中