最新記事

ロシア軍

ベラルーシのロシア軍に大規模なミサイル攻撃の兆候

Russia Preparing 'Massive Missile Attack' on Ukraine From Belarus: Intel

2022年8月16日(火)16時46分
ジェイク・トーマス

世界が恐れるロシアの超長距離地対空ミサイルS-400(写真は2014年) Vasily Fedosenko-REUTERS

<ベラルーシのロシア軍を監視していた専門家グループによれば、ウクライナ国境から40キロの飛行場に超長距離地対空ミサイルS-400など強力な兵器を集結させている>

軍事情報を追跡するある独立系グループによれば、ロシアは「ウクライナへの大規模攻撃」に備えてベラルーシに地対空ミサイルシステムを集結させているという。

「ベラルーシアン・ハジュン」プロジェクトという名のグループが8月15日のテレグラムに投稿したところによれば、衛星画像の分析により、ウクライナ国境からおよそ40キロに位置するベラルーシのジアブロウカ飛行場に兵器が集められていることがわかったという。グループは、ベラルーシがロシアの軍事行動を支援する場合に備えて監視してきた。

「飛行場の状況の分析により、ベラルーシからウクライナ領土へのロケット攻撃の可能性があるだけでなく、ロシアが今後数週間のうちにウクライナへの大規模なミサイル攻撃をおこなう準備を進めているらしい兆候が見てとれる」と、ベラルーシアン・ハジュンは述べている。

また、7月28日に最後に大規模な攻撃がおこなわれて以来、ベラルーシからはウクライナに向けて1発のロケットも発射されていないことも指摘している。

米国の宇宙技術企業マクサー・テクノロジーズの衛星画像を使った分析として同グループが述べているところによれば、ジアブロウカ飛行場には、超長距離地対空ミサイル「S-400トリウームフ」10〜14基、近距離対空防御システム「パーンツィリ-S1」2基、「KASTA-2E2」および「48Y6 Podlet」のレーダーシステム3基があるという。

またこの飛行場には少なくとも15〜60発のS-400地対空ミサイルの保管にも使われているが、さらに多くがロシア航空宇宙軍から届けられる見込みだという。

ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、2月に開始されたロシアによるウクライナ侵攻が国際的に非難されているにもかかわらず、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の強固な味方であり続けている。

ベラルーシは、ロシアともウクライナとも国土を接していることから、ルカシェンコはロシア軍にベラルーシ国内の通過を許可し、ロシアからウクライナの首都キーウへと至る近道を提供していた。

謎の爆発の正体は

戦争初期にロシア軍がキーウ陥落に失敗したあとの4月には、ロシアはベラルーシを利用して軍の再配置をしている、と米国防総省が述べていた。

ベラルーシアン・ハジュンは8月11日、目撃者の話をもとに、ジアブロウカ飛行場付近で「少なくとも8回の爆発」があったと伝えている。ベラルーシ当局は爆発について、エンジン交換後に車両に火がついたものとして、犠牲者はいないと説明した。だが、ベラルーシアン・ハジュンは飛行場近くの「大きな閃光」をとらえた動画を投稿し、「エンジン火災」の状況には合致しないと指摘した。

ベラルーシアン・ハジュンが8月15日の投稿で述べているところによれば、前週の爆発で「T-72」戦車1台が破壊され、この攻撃で犠牲者が出たことが衛星画像で示されているという。爆発の原因については説明されていない。

(翻訳:ガリレオ)

ニューズウィーク日本版 世界最高の投手
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月18日号(11月11日発売)は「世界最高の投手」特集。[保存版]日本最高の投手がMLB最高の投手に―― 全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の2025年

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

10月の世界EV販売は23%増の190万台、欧州・

ワールド

欧州委、安保強化へ情報専門部署設置検討 国際的緊張

ワールド

政府、非核三原則を政策方針として堅持=首相答弁巡り

ビジネス

米消費者保護当局、公民権時代の融資法を縮小へ=関係
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ギザのピラミッドにあると言われていた「失われた入口」がついに発見!? 中には一体何が?
  • 2
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「流石にそっくり」...マイケル・ジャクソンを「実の…
  • 8
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 9
    【銘柄】エヌビディアとの提携発表で株価が急騰...か…
  • 10
    【クイズ】韓国でGoogleマップが機能しない「意外な…
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中