最新記事

トランプ

トランプが始めるSNSはAI検閲でヘイトを排除し「言論の自由」を保障するそう

Donald Trump's 'Free Speech' Site Will Use Big-Tech Artificial Intelligence to Censor Posts

2022年1月26日(水)18時51分
ダニエル・ビャレアル
トランプ

暴力を煽動しているとしてツイッターから追放されたトランプが自分のSNSを立ち上げる Carlos Barria-REUTERS

<ツイッターから追放されたトランプが独自に作ったSNS「トゥルース・ソーシャル」が2月21日にサービスを開始する。AIによる検閲で汚い投稿は排除するが、政治には介入しないという触れ込みだ>

ドナルド・トランプ前大統領は、独自のソーシャルメディア・プラットフォーム「トゥルース・ソーシャル(Truth Social )」の立ち上げを発表。これは「言論の自由」を保障するネットワークであり、「大手テック企業の専制に立ち向かう」ものだと語っている。だが、その実このサイトは、シリコンバレーの人工知能(AI)を使用して、投稿された内容を検閲する仕組みになっている。

トゥルース・ソーシャルは、ジョージ・ワシントン初代大統領の誕生日(2月22日祝日)にサービス開始を予定している。AIソフトウエアは、カリフォルニア州サンフランシスコに本社を置くテック企業ハイブが開発したものだ。

ケーブルニュースチャンネルのフォックス・ビジネスによれば、このクラウドベースのAIは、トゥルース・ソーシャルのポリシーに違反する画像、動画、音声、テキストを含むコンテンツを自動的に検出し、検閲する。

特に「露骨に性的なコンテンツや、暴力、いじめ、ヘイトスピーチ、スパムを含む投稿」を排除する役に立つだろうと、ハイブの共同創設者兼CEOのケビン・グオは言う。同社のAIは以上のような、ソーシャルネットワーク上で普遍的に禁じられるべき内容を検閲するが、「政治的な話題を検閲する」ことはないとも言う。

ファミリー向けの安全な場に

ハイブのAI技術の恩恵を受けるのはトゥルース・ソーシャルだけではない。右派に人気のSNSアプリ「パーラー(Parler)」は暴力的で憎悪に満ちたコンテンツを排除しなかったため、2021年1月6日にアップルのプラットフォームから追放されていたが、ハイブのAIのおかげでアップルストアに返り咲くことができたという。

「私たちはこのSNSをファミリー利用者にぴったりの、極めて安全な場所にしたい。そして、違法なコンテンツがサイトに入り込まないように注意している」と、トゥルース・ソーシャルのデビン・ヌネスCEOはフォックス・ビジネスに語った。

トゥルース・ソーシャルの開発者は、正式なサービス開始の時期に「違法なコンテンツ」を投稿する利用者が押し寄せることを予期している。

このサイトの立ち上げは、トランプがツイッターから追放されてほぼ1年後というタイミングということになる。

トランプは2020年大統領選の選挙運動で、ツイッターには「不公平」で「違法」な反保守の偏見があり、「言論の自由の抑圧」を行っていると繰り返し非難した。

トランプがこのような態度をとったのは、ひとつには、選挙で不正があったというトランプの嘘の主張に対し、ツイッターが「事実確認が必要」という警告を出す回数が増え、「話題のトピック」のリストにトランプを個人的に非難する言葉が含まれるようになったためだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 7

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 8

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 8

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中