最新記事

政治献金

トヨタはアメリカの民主主義を軽視している? ツイッターでボイコット呼びかけ

Toyota Faces Boycott Calls After Alex Mooney Donation: 'I Don't Support Sedition'

2021年4月12日(月)17時31分
ブレンダン・コール
トヨタ自動車のロゴ

トヨタ車の長年のファンからも「失望した」「もう買わない」との声が Mike Blake-REUTERS

<1月の米連邦議会襲撃事件を受け、大統領選でのバイデン勝利を認めなかった議員に対する献金を「民主主義の敵」とみる風潮が広がっている>

昨年の米大統領選の結果を認めなかった下院議員に1000ドルの政治献金をしたことがわかり、SNSでトヨタ自動車に対する批判が起きている。

1月6日にトランプ大統領の支持者が米連邦議会を襲撃した後、トヨタは政治献金の見直しを行う意向を示していた。襲撃事件の数日後、トヨタの広報はE&Eニュースに対し、「最近の出来事や米連邦議会への恐ろしい襲撃を受け、わが社は今後の献金の基準について再検討を行っている」と述べたのだ。

だが最近になって、トヨタが2月4日に共和党のアレックス・ムーニー下院議員(ウェストバージニア州選出、共和党)に1000ドルの献金を行っていたと伝えられて問題になった。ムーニーは、議会襲撃事件の直後の上下両院合同会議で、ジョー・バイデンの勝利を認定しなかった147人の議員の1人だ。

襲撃事件を受けて、一部の共和党議員は「トランプが勝った、トランプは選挙を盗まれた」と言うのをやめた。事件を扇動したとして、トランプ前大統領は弾劾訴追された。

だが、政治ニュースレター「ポピュラー・インフォメーション」を発行しているジャド・レガムはツイッターで10日、トヨタのムーニーへの献金についてこう伝えた。「1月6日の後に『わが社は今後の献金の基準について再検討を行っている』と言っていたトヨタが、連邦選挙委員会(FEC)のデータによれば、2月に大統領選の結果認定に反対したムーニー議員に1000ドル献金していた」

「反民主主義的スタンスにがっかり」

この投稿を受け、ツイッターではトヨタを批判する声がいくつも上がった。これまでずっとトヨタ車を購入してきたというあるユーザーは「(トヨタが)アメリカの民主主義を大事にしないなら、アメリカの消費者もトヨタを大事にしない」とツイート。また、「暴動は支持しない」という自らの意思を今後の購買行動を通して示すと述べた。

別のユーザーは、この1000ドルの献金がトヨタ車の販売減につながる可能性を指摘。「なぜなら襲撃事件を支持する企業からはものを買いたくないという人は多いはずだ。私たちは忘れない」

また、これまでトヨタを高く評価してきたという人物は「トヨタよ、暴動を扇動した者を支持するのか」とツイート。そして「この件での御社の反民主主義的なスタンスに深く失望した」と嘆いた。

トヨタは本誌へのコメントで、献金する相手の政治家は「自動車産業や弊社にとって重要な問題について、その人が取っている立場に基づいて」決めていると述べた。

またトヨタは「連邦議会議員を、選挙の結果認定に対する投票行動だけで判断するのは適切ではないと考えている」と主張。「徹底的な再評価を元に、発言や行動を通してアメリカの選挙や制度の正当性を傷つけている一部の議員に対しては献金をやめた」とした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

スイス銀行資本規制、国内銀に不利とは言えずとバーゼ

ワールド

トランプ氏、公共放送・ラジオ資金削減へ大統領令 偏

ワールド

インド製造業PMI、4月改定値は10カ月ぶり高水準

ビジネス

三菱商事、今期26%減益見込む LNGの価格下落な
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 5
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 6
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 7
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 8
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 9
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中