スイス銀行資本規制、国内銀に不利とは言えずとバーゼル委幹部 UBSに反論

世界の銀行監督当局や中央銀行で構成するバーゼル銀行監督委員会の幹部は、スイスの既存の銀行資本規制が他国と比較して不当に厳しいとはいえないとの認識を示し、競争力を削ぐとするUBSの主張に反論した。写真はUBSのロゴ。2014年6月、ブリュッセルで撮影(2025年 ロイター/Francois Lenoir)
[チューリヒ 2日 ロイター] - 世界の銀行監督当局や中央銀行で構成するバーゼル銀行監督委員会の幹部は、スイスの既存の銀行資本規制が他国と比較して不当に厳しいとはいえないとの認識を示し、競争力を削ぐとするUBSの主張に反論した。
スイス政府は、2023年のクレディ・スイスの経営破綻を受け、銀行の自己資本規制を強化する方針。政府の仲介でクレディ・スイスを救済買収し同国「一強」となったUBSは400億ドルの資本積み増しが必要になると見積もる。UBSのコルム・ケレハー会長は先月の株主総会で、現行の規制もすでに負担になっていると述べた。
バーゼル銀行監督委員会のエショー事務総長はロイターに対し、スイスの規則では、どの金融商品を資本とみなすかについて、他の国・地域よりも柔軟性があり、必要資本額のみに焦点を当てるのは誤解を招くと指摘。スイスの規制では、子会社が保有する資本を親会社の必要資本に算入することを認め、バーゼル規制で禁じる資本の二重計上が可能になっているとし、「資本の質を考えれば、数字が高くても必ずしも強靭(きょうじん)性があるとは言えない」と述べ、「スイスの銀行が他の銀行に比べて不利という主張に賛同しない」と語った。
エショー氏は1月の講演でも、スイスに簡単に言及しつつ資本の量よりも質を重視すると述べていた。
スイス政府は新銀行資本規制を6月に正式提案する予定。UBSの懸念の背景には、欧州連合(EU)、英国、米国が銀行資本規制の国際的枠組み「バーゼル3」最終化の適用時期を延期していることがある。エショー氏は主要な金融センター全てでいずれバーゼル3が完全実施されるとの見通しを示した。