最新記事

変異種

英変異ウイルスに感染した場合の症状の特徴は(英統計局)

Most Common U.K. COVID Variant Symptoms Revealed in Survey

2021年1月28日(木)14時23分
アリストス・ジョージャウ

クリケット場に急遽設けられたワクチンセンターに並ぶ人々(1月22日、ロンドン) REUTERS/John Sibley

<咳や倦怠感などの典型的な症状がより出やすい一方で、味覚や嗅覚の異常はより少ないようだとの調査結果を発表>

英国家統計局(ONS)は、イギリスで確認された新型コロナウイルス変異種「B.1.1.7」についての調査結果を発表。それによると、同変異種に感染した人は、同ウイルスのそのほかの種の感染者よりも咳や倦怠感、筋肉痛や喉の痛みといった症状が出やすく、一方で味覚や嗅覚の異常を訴える傾向はやや弱いということだ。

B.1.1.7変異種は2020年9月に英南東部で初めて確認された後、年末に向けて同国内に拡大。現在は世界の複数の国と、アメリカの20以上の州でも確認されている。

この変異種は、従来型のウイルスに比べて感染力が約50~70%高いとされている。また最近明らかになった複数の証拠から、ほかの型に比べて感染者の死亡率がより高い可能性が示唆されている(とはいえ、この仮説を裏付ける十分なデータはまだない)。

英国家統計局の調査は、イングランドで2020年11月15日から2021年1月16日にかけて、検査で陽性反応が出た感染者の中から、無作為に選んだ6000人を対象に実施された。研究者たちは感染者に、検査を受ける前の7日間になんらかの症状があったかどうか、および直近の7日間にCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)と共通する症状があったかどうかを尋ねた。

胃腸症状や頭痛については差がなかった

調査では、症状を以下のグループに分類した。

1.なんらかの症状:具体的な症状は挙げていないが、感染者がCOVID-19と共通する症状を含むなんらかの症状を訴えた

2.典型的な症状:咳、発熱、息切れ、味覚や嗅覚の異常

3.胃腸症状:腹痛、吐き気、嘔吐や下痢

4.味覚または嗅覚の異常のみ

その結果、変異種の感染者とそれ以外の感染者の最も大きな違いとして、変異種の感染者の方が咳やのどの痛み、倦怠感や筋肉痛を訴える傾向が強いことが分かった。

研究者たちは報告書に、「イギリスで確認された変異種に感染した人は、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)でみられる典型的な症状をはじめ、なんらかの症状を訴える傾向がより強かった」と書いている。一方で味覚や嗅覚の異常を訴えるケースはより少なく、胃腸症状や息切れ、頭痛を訴える感染者の割合については、従来型ウイルスの感染者との差を示す証拠はなかったという。

変異種に感染した人のうち35%が咳の症状、32%が倦怠感、25%が筋肉痛などの痛み、21.8%がのどの痛みを報告した。

これに対して、そのほかの型に感染した人では28%が咳の症状、29%が倦怠感、21%が筋肉痛などの痛み、19%がのどの痛みを報告した。

また変異種の感染者のうち16%が味覚障害、15%が嗅覚障害を経験したと報告。これはほかの型の感染者(18%が味覚および嗅覚の異常を報告)よりもやや少ない割合だった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米CPI、4月は前年比3.4%上昇に鈍化 利下げ期

ビジネス

米小売売上高4月は前月比横ばい、ガソリン高騰で他支

ワールド

スロバキア首相銃撃され「生命の危機」、犯人拘束 動

ビジネス

米金利、現行水準に「もう少し長く」維持する必要=ミ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 5

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    奇跡の成長に取り残された、韓国「貧困高齢者」の苦悩

  • 9

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 10

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中