最新記事

ドイツ

2020年ドイツ人が最も恐れるのは......コロナではなくトランプ政治

2020年9月21日(月)14時30分
モーゲンスタン陽子

ドイツ人の懸念はむしろ、パンデミックがもたらす経済的悪影響にあった...... REUTERS/Peter Nicholls/

<今ドイツ人がもっとも恐れているのは新型コロナウィルスではなく、アメリカの「トランプ大統領による政治」だということがわかった......>

ドイツ最大の保険会社R+Vが28年間毎年行っている意識調査『ドイツ人の心配事』で、今ドイツ人がもっとも恐れているのは新型コロナウィルスではなく、アメリカの「トランプ大統領による政治」だということがわかった。1位のトランプ政治を恐れるドイツ人は全体の53%で、17位の「新型コロナウィルス感染や重病」の32%を大きく上回った。

また、パンデミックの年であるにもかかわらず、ドイツ人の一般的な不安感は今年、例年よりも下がったようだ。全体の「不安感指数」は昨年の39%から37%に下がっており、これは1992年に調査を開始して以来最低だった。数年前、過激派によるテロがヨーロッパで多発した時期などに比べ、2020年のドイツ人は比較的リラックスしているようだ。

意外に落ち着いているドイツ人

調査対象は14歳以上のドイツ人男女約2400人で、調査は今年6月はじめから7月末にかけて行われた。

trump-corona20921b.jpg

出典:R+V-Infocenter "Die Ängste der Deutschen 2020"

2位以下10位まではそれぞれ「生活費の高騰」51%、「EU債務危機による納税者への負担」49%、「経済状況の悪化」48%、「自然災害・異常気象」44%、「外国人流入による緊張」43%、「難民のための国家の負担」43%、「食品内有害物質」42%、「グローバリゼーションによるパンデミックの頻発」42%、「老後のケア」41%となっている。

9位の「グローバリゼーションによるパンデミックの頻発」は2020年初登場だが、思ったより低い結果に関係者たちは驚いているようだ。パンデミックの年にもかかわらず、「新型コロナ感染など深刻な病気」に対する心配は17位の32%で、昨年から3%下がっている。他の同様の調査を見ても、自分またはまわりの人間が新型コロナウィルスに感染することを心配するドイツ人は全体の3分の1程度に過ぎないと、R+Vインフォセンター長のブリギッテ・レムシュテットは述べる。

ちなみに、このカテゴリーでもっとも不安を感じているのはやはり60歳位以上の年齢グループだが、一般的な疾患に対する恐怖(52%)のほうが新型コロナに対する不安(40%)を上回っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮の金総書記、25日に多連装ロケット砲の試射視

ビジネス

4月東京都区部消費者物価(除く生鮮)は前年比+1.

ビジネス

ロイターネクスト:米第1四半期GDPは上方修正の可

ワールド

バイデン氏、半導体大手マイクロンへの補助金発表 最
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 3

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 4

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中