最新記事

人種差別

黒人男性の遺体が吊るされて発見された事件でFBIが再調査、一方で3人目の遺体も発見 

FBI Reviewing Investigations of Recent Hangings as Third Man Found Dead

2020年6月17日(水)17時05分
スー・キム

フラーはリンチの被害者だ、と訴える女性(6月13日、カリフォルニア州パームデール) Ringo Chiu-REUTERS

<絞首刑のような状態で見つかった黒人男性はこれで3人目。自殺なのか、おぞましい過去のリンチがよみがえったのか>

ロバート・フラーとマルコム・ハーシュという2人の黒人男性が相次いで亡くなった件をめぐる捜査に関して、米連邦捜査局(FBI)と司法省、カリフォルニア州司法長官事務所が再捜査を行うことになった。2人は、50マイル(約80キロ)ほど離れたカリフォルニア州の2つの町で、ハーシュは5月31日に、フラーは6月11日に、どちらも木に吊り下げられた状態の遺体として発見された。

今回の再捜査の決定に先だって、別の男性が木から吊された状態で死亡しているのが発見された。6月15日にテキサス州ヒューストンのシェイディ・エーカー付近で、木に吊された状態の男性の遺体が発見されたのだ。3人目だ。ヒューストン市警の署長はこの男性について「ヒスパニックあるいは白人」と報告している。この男性の死について、ヒューストン市警は「自殺とみられる」と述べている。

FBIは15日、カリフォルニア州の2人の件について再捜査を行うことを認める声明を発表した。「FBI、カリフォルニア州中部を統括する司法長官事務所、そして司法省公民権局は、パルムデール市とビクタービル市でアフリカ系アメリカ人の男性2名が木に吊された状態で死亡していた件について、精力的に再捜査を行っており、連邦法に違反する行為の有無について特定にあたっている」

ロープはどう結ばれたのか

ロサンゼルス郡のアレックス・ビラヌエバ保安官も、15日の記者会見で再捜査について認めた。「私は(カリフォルニア州の)ザビエル・ベセラ司法長官と連絡をとった。今後は、州司法長官のスタッフが、我々のすべての捜査について監督と見直しを行い、見落としがないようあらゆる手を尽くす。私はまた、FBIとも連絡をとっている。われわれは、透明性を保ち、完全な説明責任を果たすため万全を期す」

捜査当局は上記の記者会見で、フラーの死亡現場で見つかったと報告されている物的証拠は、ロープ、およびフラーが身につけていた衣服のポケットやバックパックの中身だけだと述べた。

ロサンゼルス郡保安局のケント・ウェゲナー警部は、現場で見つかったロープについては「科学捜査研究所による物理解析および血清の検査」が行われると述べた。さらに、ロープの「結び目の詳細な調査を行い、どのように結ばれたのかも特定する」という。

捜査当局は今後、遺体の発見現場周辺を撮影した監視カメラの映像を探すと共に、フラーの病歴についても、地元だけでなく、以前の居住地とみられるアリゾナ州とネバダ州での過去の状況を調査する。

一方、テキサス州ヒューストンで吊された状態の死亡男性が見つかった一件は、遺体を撮影した動画がソーシャルメディアで広まり、警察に知らされた。

<参考記事>自殺かリンチか、差別に怒るアメリカで木に吊るされた黒人の遺体発見が相次ぐ
<参考記事>Black Lives Matter、日本人が知らないデモ拡大の4つの要因(パックン)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など

ワールド

アングル:失言や違法捜査、米司法省でミス連鎖 トラ

ワールド

アングル:反攻強めるミャンマー国軍、徴兵制やドロー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 5
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 6
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 7
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 8
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中