最新記事

中国

香港からサイパンに向かっていた日本人女性が、空港で妊娠検査を強要された......その理由は?

2020年1月24日(金)15時10分
安部かすみ

香港からサイパンに向かう女性が妊娠検査をするよう航空会社に強要された...... Tyrone Siu-REUTERS

<香港からサイパン島に向かっていた日本人女性が、妊娠検査をするよう航空会社に強要されていた。その原因は、近年の中国でのある流行があった......>

サイパン島に向かっていた日本人女性(25)が香港の空港で搭乗前、妊娠検査をするよう航空会社に強要されていたことがわかった

サイパン育ちで東京在住のこの女性は昨年11月、家族が住むサイパンに向かっていた。香港国際空港で香港エクスプレス航空の搭乗チェックインの際、航空会社の係員から、妊娠していないことが搭乗条件の一つだと説明を受け、トイレに付き添われて妊娠検査をするよう指示されたという。

近年、「サイパン出産旅行」が問題になっており、その対策として、同社はサイパン当局からの依頼で、体形が妊婦のように見える女性に対し妊娠検査をした事実を認め、後日謝罪した。

サイパン出産旅行とは?

アメリカ自治領であるサイパン島で生まれると、アメリカ本土同様に、アメリカ市民権が与えられる。これを利用して近年、外国からの「出産旅行」が増えている。

アメリカ国勢調査および、北マリアナ保健・人口統計局の発表では、サイパン島など14の島から成る北マリアナ諸島の人口は5万人。サイパン島民による出産で誕生した子どもの数が2018年の時点で492人なのに対し、旅行者から誕生した子どもの数は582人にも上ったという。しかも582人のうち575人が中国人旅行者で、残りはフィリピン人や日本人、韓国人なども含まれる。

その数はこの10年で急増した。2008年に、サイパンで中国人観光者が出産した数は年間20人弱だったが、2009年、中国人へのビザポリシーが緩和し、本土と異なりサイパンには、中国人であっても「ビザなし」で渡航できるようなって急増した。つまり、日本人旅行客が香港の空港で強要された妊娠検査は、サイパン当局により水際対策のとばっちりとも言えるものだったのだ。

なぜアメリカで出産するか?

ニュースウェブサイト「マーケットプレイス」は昨年、「なぜ中国人は出産のためにアメリカに来るのか?」という記事で、実際にアメリカ国内で出産した中国人カップルにインタビューした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ジョージア「スパイ法」成立、議長が署名 NGOが提

ビジネス

アングル:認証不正が自動車株直撃、押し目買い機運削

ワールド

中国、ペルシャ湾3島巡る姿勢に変更なしと強調 イラ

ワールド

再送韓国、東岸沖に莫大な石油・ガス埋蔵か 尹大統領
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 2

    キャサリン妃「お気に入りブランド」廃業の衝撃...「肖像画ドレス」で歴史に名を刻んだ、プリンセス御用達

  • 3

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...すごすぎる日焼けあとが「痛そう」「ひどい」と話題に

  • 4

    「自閉症をポジティブに語ろう」の風潮はつらい...母…

  • 5

    1日のうち「立つ」と「座る」どっちが多いと健康的?…

  • 6

    ウクライナ「水上ドローン」が、ロシア黒海艦隊の「…

  • 7

    ヘンリー王子とメーガン妃の「ナイジェリア旅行」...…

  • 8

    「娘を見て!」「ひどい母親」 ケリー・ピケ、自分の…

  • 9

    中国海外留学生「借金踏み倒し=愛国活動」のありえ…

  • 10

    「みっともない!」 中東を訪問したプーチンとドイツ…

  • 1

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 2

    キャサリン妃「お気に入りブランド」廃業の衝撃...「肖像画ドレス」で歴史に名を刻んだ、プリンセス御用達

  • 3

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲームチェンジャーに?

  • 4

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

  • 5

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 6

    仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカ…

  • 7

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 8

    都知事選の候補者は東京の2つの課題から逃げるな

  • 9

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 10

    「自閉症をポジティブに語ろう」の風潮はつらい...母…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中