最新記事

中朝合弁

ハッカー部隊? 核疑惑?の北朝鮮資本ホテルが、中国のホテルとして復活

2018年5月25日(金)17時10分
中野鷹

中国企業が運営する中富国際ホテルとしてグランドオープンする旧七宝山ホテル

<中国・瀋陽にある、いわくつきの中国・北朝鮮合弁ホテルが、運営会社を変え中国のホテルとして復活しつつある>

今年1月に営業停止していた中国唯一にして最大の中朝合弁ホテル「七宝山ホテル」(瀋陽)が、運営会社を変え「中富国際ホテル」として今月末にグランドオープンする。

昨年9月、中国政府は国連制裁に従って、履行期限最終日に旧七宝山ホテルの営業を停止していたが、1月末に登記された新しい法人を新たな経営会社として、5月1日にひっそりとソフトオープン(試営業)していた。

七宝山ホテル(正式表記は、七宝山飯店)は、2000年に当時、中朝最大規模のジョイントベンチャーでオープンした15階建て150の客室を持つ中朝合弁ホテルだ。当時の瀋陽は、大型ホテルが少なかったため目立っていたが、瀋陽の急速な経済発展で周辺に高層ビルや高級ホテルが増えたため輝きを失いつつあった。

そこで、2011年に半年ほど営業を完全停止して大リノベーションを実施した。その際に、故金正日総書記が客室の調度品にいたるまで細かく指導したとされる。2011年12月にその金正日総書記が死去したために、再オープンは延期されたが、翌12年1月末にリニューアルオープンをした。

リニューアルされた七宝山ホテルの内装は、中国人好みの鏡のような光沢があるきらびやかな豪華デザインとなり、4つ星にふさわしいホテルとして生まれ変わっていた。以下はその当時の写真だ。

china02.JPG

七宝山ホテル時代の1階ロビー奥にはミニカフェがあり北朝鮮人女性スタッフが常勤していた

china04.JPG

朝鮮中央テレビも視聴できた七宝山ホテル時代の客室(最安で1泊約6000円)

china05.JPG

北朝鮮資本ホテルらしくホテル前には七宝山ホテルのハングル看板があった

china07.JPG

かつては北朝鮮と中国の国旗と七宝山ホテルの3つの旗が掲揚されていた

七宝山ホテルに北朝鮮のハッカー部隊?

七宝山ホテルが注目されるのは北朝鮮資本のホテルということだけではない。この場所から南へ徒歩7分も歩くと日本領事館や北朝鮮領事館などがある領事館エリアがあるのだが、この七宝山ホテルは、第2の北朝鮮領事館的な役割を果たしていたとされるからだ。

瀋陽や丹東、大連などで活動している北朝鮮人が配る会社の名刺に書かれるメールアドレスへ送ると一度、七宝山ホテルと思われるメールサーバーのIPを経由することが確認されている。そこで開封されて北朝鮮へ転送される仕組みだった。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

キャメロン英外相、偽ウクライナ前大統領とビデオ通話

ワールド

デンマーク首相、首都中心部で襲われる 男を逮捕

ワールド

焦点:フランスのムスリム系学校、イスラム主義締め付

ワールド

アングル:肥満症治療薬、有望市場の中国で競争激化の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナの日本人
特集:ウクライナの日本人
2024年6月11日号(6/ 4発売)

義勇兵、ボランティア、長期の在住者......。銃弾が飛び交う異国に彼らが滞在し続ける理由

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    カラスは「数を声に出して数えられる」ことが明らかに ヒト以外で確認されたのは初めて

  • 2

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...? 史上最強の抗酸化物質を多く含むあの魚

  • 3

    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車が、平原進むロシアの装甲車2台を「爆破」する決定的瞬間

  • 4

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 5

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 6

    【独自】YOSHIKIが語る、世界に挑戦できる人材の本質…

  • 7

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 8

    堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっ…

  • 9

    正義感の源は「はらわた」にあり!?... 腸内細菌が…

  • 10

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 3

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が34歳の誕生日を愛娘と祝う...公式写真が話題に

  • 4

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 5

    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 6

    キャサリン妃「お気に入りブランド」廃業の衝撃...「…

  • 7

    「サルミアッキ」猫の秘密...遺伝子変異が生んだ新た…

  • 8

    カラスは「数を声に出して数えられる」ことが明らか…

  • 9

    アメリカで話題、意識高い系へのカウンター「贅沢品…

  • 10

    「自閉症をポジティブに語ろう」の風潮はつらい...母…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 4

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 5

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 8

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 9

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中