最新記事

人権問題

アメリカの少年兵禁止法 違反国解除のティラーソン国務長官に批判

2017年11月21日(火)19時01分

11月21日、少年兵を動員している国への軍事協力を禁止する法律を巡り、ティラーソン米国務長官(写真)の判断を批判する声が国務省の複数高官から上がっている。20日撮影(2017年 ロイター/Carlos Barria)

少年兵を動員している国への軍事協力を禁止する法律を巡り、ティラーソン米国務長官の判断を批判する声が国務省の複数高官から上がっている。ロイターが入手した関係資料で明らかになった。

この内部資料によると、ティラーソン氏は6月、イラク、ミャンマー、アフガニスタンでの少年兵動員が確認されているにも関わらず、少年兵使用防止法(US Child Soldiers Prevention Act)の違反国リストから3カ国を外すことを決定した。

少年兵使用防止法は、2008年に当時のジョージ・W・ブッシュ大統領が署名した。18歳未満の少年兵を積極的に動員している国に対し、米軍による訓練や財政援助といった軍事関連支援を禁止する法律で、国務省は毎年、適用される国の見直しをする。違反国のリストには現在、コンゴ、ナイジェリア、ソマリア、南スーダン、スーダン、マリ、スーダン、シリア、イエメンが含まれる。

適用国から除外すれば米国は軍事支援がしやすくなる。イラクとアフガニスタンは、イスラム武装勢力との戦いで米国の同盟国。また、中国の東南アジアでの影響力拡大を阻止する上で、ミャンマーは重要な存在になりつつある。

ティラーソン氏の決定には、国務省内の中東やアジアなどの大使館を統括する部署や人権問題を扱う部署など大多数が反対したという。内部文書は、国務省内のキャリア組とティラーソン氏の対立が続いていることを示している。

[ワシントン 21日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英利下げ視野も時期は明言できず=中銀次期副総裁

ワールド

プーチン氏がイラン大統領と電話会談、全ての当事者に

ビジネス

モルガンS、第1四半期利益が予想上回る 投資銀行業

ビジネス

米BofA、第1四半期は減益も予想上回る 投資銀行
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 2

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア黒海艦隊「主力不在」の実態

  • 3

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無能の専門家」の面々

  • 4

    韓国の春に思うこと、セウォル号事故から10年

  • 5

    中国もトルコもUAEも......米経済制裁の効果で世界が…

  • 6

    【地図】【戦況解説】ウクライナ防衛の背骨を成し、…

  • 7

    訪中のショルツ独首相が語った「中国車への注文」

  • 8

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    「アイアンドーム」では足りなかった。イスラエルの…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 3

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...当局が撮影していた、犬の「尋常ではない」様子

  • 4

    ロシアの隣りの強権国家までがロシア離れ、「ウクラ…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    NewJeans、ILLIT、LE SSERAFIM...... K-POPガールズグ…

  • 7

    ドネツク州でロシアが過去最大の「戦車攻撃」を実施…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    猫がニシキヘビに「食べられかけている」悪夢の光景.…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中