最新記事

日米安保

海自艦、米空母と20日間にわたる異例の長期行動 北朝鮮と中国けん制

2017年10月2日(月)16時07分

10月2日、海上自衛隊の護衛艦と米原子力空母が、西太平洋から南シナ海にかけて異例の長期行動を続けている。北朝鮮の核・ミサイル開発と中国の海洋進出で東アジア情勢が不安定化する中、日米が緊密に連携する姿をアピールする狙いがあるとみられる。写真は9月、共同訓練のため並んで航行する海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「いせ」(手前)と、米原子力空母「ロナルド・レーガン」(奥)海上自衛隊提供(2017年 ロイター)

海上自衛隊の護衛艦と米原子力空母が、西太平洋から南シナ海にかけて異例の長期行動を続けている。

北朝鮮の核・ミサイル開発と中国の海洋進出で東アジア情勢が不安定化する中、日米が緊密に連携する姿をアピールする狙いがあるとみられる。

海自は2日、護衛艦「さざなみ」と米原子力空母「ロナルド・レーガン」が9月29日から10月1日まで共同訓練を行ったと発表した。もともと9月11日から28日にかけ、関東の南方から沖縄周辺の海域で訓練を実施する計画を公表していたが、これを3日間延長。日米の艦艇はフィリピンと台湾に挟まれたバシー海峡を抜け、中国が影響力を強める南シナ海に入った。

海自艦と米空母が20日間にわたって共同で航行するのは異例。海自によると、現時点で確認できる2014年以降では最長だという。米海軍からはレーガンのほかに艦艇数隻が、海自からはヘリコプター搭載護衛艦「いせ」、護衛艦「あけぼの」、護衛艦「さざなみ」が1隻ずつ交代で参加している。

この後、レーガン率いる米艦隊は香港へ向かう。さらに朝鮮半島近海に展開し、韓国海軍と合同演習を行う。海上幕僚監部広報部は、海自の護衛艦がこの先も行動をともにするかは未定としている。

地域の安全保障環境が厳しさを増す中、安倍晋三首相はたびたび日米同盟の重要性を強調。9月には防衛省幹部を前に「米国とともに防衛態勢と能力の向上を図るべく、具体的な行動をとっていかなければならない」と語っていた。

(久保信博 編集:田巻一彦)

[東京 2日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米副大統領、フロリダ州の中絶禁止法巡りトランプ氏を

ワールド

シンガポールDBS、第1四半期は15%増益

ワールド

台湾のWHO総会出席、外相は困難と指摘 米国は招待

ビジネス

アングル:ドル売り浴びせ、早朝の奇襲に介入観測再び
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 8

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 9

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中