最新記事

北朝鮮

北朝鮮暴走に対する中国の見解――環球時報社説から

2017年9月19日(火)15時23分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

結論的に北朝鮮の核・ミサイル活動を止めることは現段階では困難である。国際社会は国連安保理の制裁を中心とする局面打開のための対策をすでに形成はしているが、しかし問題解決のための対話の道に関しては欠如しており、国際社会は"双暫停"を促進するという、困難を極める任務遂行に直面している(筆者注:"双暫停"とは「北朝鮮と米韓双方が暫時、軍事的挑発を停止して対話のテーブルに着く」という意味)。

朝鮮半島の形勢は「不穏中にもある種の相対的安定が存在する」という局面と「不安定要素がコントロールを失う」という二種類の可能性を秘めている。いずれにせよ北朝鮮は"大暴れ孫悟空"であることは確かだが、しかし未来の方向性を決めるカギ(本当の変数)を握っているのは米韓である。

米韓が、こんにちまで米韓が果たしてこなかった北朝鮮核危機と平和的解決のために貢献をしたいと望むか否かということこそが、朝鮮半島の未来を決定するのである(筆者:米韓が朝鮮戦争休戦協定に違反し続けて、米軍が韓国に駐留し、米韓合同軍事演習をし続けていることを指す)。

北朝鮮は、ますます厳しくなっている条件下でもなお、"攻撃"を続けている。しかし強い弓で射た矢も最後には勢いが弱まるように、北朝鮮もやがては勢いを無くす。(完)

米韓はやはり軍事示威

韓国の聯合ニュースによれば、9月18日、米軍の戦略兵器である最新鋭ステルスF35B戦闘機4機とB1B戦略爆撃機2機が、韓国空軍の主力戦闘機F15K(4機)とともに、韓国東部の射撃場で爆撃訓練を実施したとのこと。F35BとB1Bの同時展開は先月31日に続き2回目となる。

また同じく聯合ニュースは、米軍の空母打撃群が10月に朝鮮半島周辺で韓国軍と合同演習を行うことを明らかにした。今月から10月初めまでに韓米日で北朝鮮ミサイルを海上で探知・追跡する訓練も実施する計画だ。10月には米軍の原子力空母ロナルド・レーガンをはじめとする空母打撃群が朝鮮半島周辺海域に展開され、韓国海軍と合同演習を行うという。

果たして中国の環球時報社説が正しいのか、それとも国連制裁にさらに米韓の軍事示威による圧力も加えることが正しいのか、しばらく様子を見てみたいとは思う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ラファ攻撃は「人道上の悪夢」、停戦合意に尽力を=国

ワールド

米英豪、ロックビットのロシア人幹部に制裁 ランサム

ビジネス

米金融政策、想定ほど引き締まっていない可能性=ミネ

ビジネス

米当局、テスラに詳細要求 「オートパイロット」リコ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 3

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 4

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表.…

  • 5

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    「ハイヒールが効率的な歩行に役立つ」という最新研究

  • 8

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 9

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 10

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 9

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 10

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中