最新記事

ハリケーン

【画像】ハリケーン・イルマを生き延びたヘミングウェイの6本指の猫たち

2017年9月11日(月)19時40分
ロバート・バレンシア

ハリケーン・イルマに破壊された家(11月10日、フロリダ州) Bryan Woolston-REUTERS

<イルマが猛威を振るったフロリダ州キーウエストで、ヘミングウェイの家と猫54匹の無事が伝えられ喜びが広がっている>

米フロリダ州最南端のキーウエストに上陸した大型ハリケーン「イルマ」が猛威を振るう中なか、安否が気遣われていた文豪ヘミングウェイの自宅兼博物館のスタッフ10人と6本指の猫54匹は無事だったことが、現地時間の日曜朝にわかった。

(ハリケーンが去った後のヘミングウェイの家とスタッフと猫。左下はヘミングウェイの孫で女優のマリエル・ヘミングウェイ)


イルマの上陸に備えて、現地当局は厳しい避難命令を出し、避難は住民の義務だと警告していた。だが、キーウェストの観光名所でもあるヘミングウェイの家と猫を守るスタッフは、頑として動こうとしなかった。

「外側から板を張って建物を補強した。厚いベニヤ板を打ち付けて雨戸代わりにしている」と、イルマの上陸前、博物館館長のデイブ・ゴンザレスはテレビに語っていた。「キャットフードや水も買いだめした」

(いち早く無事を確認したマーキュリー・ニュースのヘミングウェイの猫特集。ヘミングウェイが好んだ調度品でくつろぐ猫たちの動画も)


ゴンザレスは米地方紙ヒューストン・クロニクルの取材で、猫たちは過去にもハリケーンを経験していて慣れていると言った。「猫は、気圧が下がると家に飛び込んでくる。いつ避難すべきかを人間よりよく察知する」

猫たちは、ヘミングウェイが飼っていた6本指の猫の子孫で、過去ハリケーンで行方不明になったことは一度もないという。敷地内の建物にはすべて、危険が迫ればすぐに屋内に逃げ込める猫用の出入り口や避難エリアが備わっている。

(無事を喜ぶ多くのツイートの1つ)


72歳の世話人兼管理人であるジャクイ・サンズも避難を拒否した一人。ヘミングウェイの孫で女優のマリエル・ヘミングウェイは、サンズに避難するよう懇願した。「所詮はただの家よ。猫たちを車に乗せて避難して!」

だがサンズは、「この家と猫を守るのが自分の義務だ」と言って留まった。

米カリフォルニア州ベイエリアのニュース局、マーキュリー・ニュースによれば、イルマは日曜朝までにキーウエストを通り過ぎ、スタッフと猫も無事が確認できたという。

この建物は19世紀半ばのもので、1931年にヘミングウェイが買い取った。彼は1931~1940年まで妻ポーリンと2人の息子とここで暮らした後、キューバに移住した。ヘミングウェイの美意識が光る家も調度品も無事だった。とりあえず、今回は。

(翻訳:河原里香)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

高市首相、中国首相と会話の機会なし G20サミット

ワールド

米の和平案、ウィットコフ氏とクシュナー氏がロ特使と

ワールド

米長官らスイス到着、ウクライナ和平案協議へ 欧州も

ワールド

台湾巡る日本の発言は衝撃的、一線を越えた=中国外相
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナゾ仕様」...「ここじゃできない!」
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 5
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    【銘柄】いま注目のフィンテック企業、ソーファイ・…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中