最新記事

日韓関係

国民は慰安婦合意を受け入れられず 文大統領、安倍首相に

2017年5月11日(木)23時13分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

イーデイリーは「ムン大統領が慰安婦問題に言及したのは、日本政府に対する圧力と説得の二つの意味を盛り込んでいるとみられる。 初めての会談であることにもかかわらず、懸案の課題を直接取り上げたことは、韓国政府が、慰安婦問題合意を重視していて、合意を守っていくためには国民的な合意を引き出すことが不可欠だという点をアピールした。一方で、ムン大統領は、パク政権が慰安婦問題を前面に打ち出しながら日韓関係が極度に冷え込んだことを教訓として、両国関係の発展と協力の潜在力を同時に強調した。 文大統領が選挙戦開始時に、選管に提出した公約にも慰安婦問題について"原則的対応"と表現して、余地を残したことも、このような脈絡で見ることができる」と論評している。

慰安婦合意破棄を求める市民

こうしたメディアの評価とは別に、慰安婦問題を訴える市民は、新大統領に対して日本政府への強硬な姿勢を求めている。

10日の昼12時、ムン・ジェインが大統領宣誓式を行っているまさにその時間、ソウルの鍾路区にある日本大使館前では慰安婦問題解決を求める集会「水曜集会」が行われていた。新政権が発足した当日ということもあって市民100人が集まり、日韓慰安婦問題合意の無効と日本政府の謝罪を訴えた。

韓国メディアNEWSISによれば、集会の主催者は、「私たちはろうそくの力で新しい時代を開いた。ろうそく革命で誕生したムン・ジェイン政権はただちに日本軍による従軍慰安婦問題の解決に乗り出さなければならない」と主張。さらに「ムン大統領は弊害の清算と国民和解・治癒をするとやくそくした。弊害の清算で真っ先やるべき課題は慰安婦問題合意の破棄だ。ムン大統領は約束通り、慰安婦問題を原則的に解決してほしい」と話した。

罷免されたパク前大統領が決めたという経緯もあり、この慰安婦問題合意については大統領選挙では、ムン・ジェインをはじめ、出馬した主要5政党の公認候補は全員、慰安婦問題合意については再交渉、もしくは破棄ということを掲げていた。北朝鮮の核問題や米トランプ政権とのFTA交渉など、ムン政権が抱える懸案は少なくないが、慰安婦問題合意はそのなかでももっとも扱いが難しい政権の命運を左右しかねない爆弾といえるかもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アラムコCEO、今年の石油需要は堅調持続 米中貿易

ビジネス

マネーストックM3、4月は前年比0.1%増 18年

ビジネス

見通しはすぐに覆る可能性、政策経路「いつでも変わり

ビジネス

米中関税引き下げでリスク低下とFRB高官、利下げ予
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映った「殺気」
  • 3
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因は農薬と地下水か?【最新研究】
  • 4
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 5
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    「出直し」韓国大統領選で、与党の候補者選びが大分…
  • 8
    「がっかり」「私なら別れる」...マラソン大会で恋人…
  • 9
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 10
    ハーネスがお尻に...ジップラインで思い出を残そうと…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 7
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..…
  • 10
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中