最新記事

キャリアアップ特集

最新ビジネス英会話に求められる、ロジカルスピーキングと「おもてなし」

2017年3月14日(火)18時40分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

english170314-alc.jpg

企業が求める英会話力は変化していると語るアルクの吉田氏

訪日外国人が日本人に求める「おもてなし」とは

2020年の東京五輪を控え、訪日外国人を英語で「おもてなし」しようという動きも英会話学習のトレンドとして広がりを見せている。アルクでは、2017年1月に通訳案内士の資格を持つ通訳ガイドを講師に迎え、おもてなしをテーマにしたセミナーを開催。訪日外国人を接客するにあたり、どのようなマインドやスキルが必要なのかを学ぶものだ。

「ホテルやレストランといったサービス業の企業向けに企画したが、実際に参加された方の半数以上は別の業種の人事関係者」と、吉田氏は話す。海外展開している企業が外国人の社員をもてなしたい、あるいは同じ職場で働いている外国人の同僚をもてなしたいというニーズも増えている。

セミナーには、東京の深川地区に伝わる「深川おどり」を広める民間団体も参加した。この団体は、訪日外国人から着物や振付の意味といったディテールの説明を求められることが多いという。おもてなしの根本として大切なのは、相手に何をどのように説明するのかという点。本当に求められているおもてなしと、日本人が考えるおもてなしには隔たりがある。

【参考記事】MBAのトレンドは海外留学から国内ビジネススクールへ

例えば旅館での食事の場合、日本人は目の前に並べられたたくさんの品数の料理に対してホスピタリティーを感じるが、訪日外国人が知りたいのは日本の食文化そのもの。どのような食材を使って、どのように調理された料理かを説明することに意味がある。笑顔で頭を下げるだけのおもてなしから、日本の魅力を正しくアウトプットするコミュニケーションへと、求められるものはシフトしている。

ここでも要となるのは、スピーキング能力と同様に異文化への理解だ。また、ローコンテクスト文化の国では会話の積極性も重視されるため、吉田氏は「英会話の能力を高めるための要素の一つは積極性」と言い切る。その上で、相手にどう伝えるのか、説得するにはどうするべきか、より効率的に伝えるにはどう話すのかといったテクニックが問われる。

今や職場に外国人が配属されることも珍しくなくなり、あらゆる業種で海外進出を目標に掲げる企業が増加している。英語を話すことの重要性は高まるばかりだ。ロジカルスピーキングと英語でのおもてなしという、英会話学習の二大トレンドは、今の日本のビジネスパーソンが直面する仕事上のニーズの変化を如実に反映している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

利上げの可能性、物価上昇継続なら「非常に高い」=日

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32、経済状況が悪くないのに深刻さを増す背景

  • 4

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 7

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中