最新記事

台湾

蔡英文新総統はどう出るか?――米中の圧力と台湾の民意

2016年5月17日(火)17時39分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

 したがって環球網(環球時報の電子版)が4月25日に上海社会科学院と共同で「台湾新政権の台独問題に関するアンケート」(23問)を行なったことに対して、中国政府は一部削除することにより世論が過熱するのを抑えたくらいだ。なぜなら結果はすぐに出て、「台湾が独立するなら、すぐに武力を使って台湾を統一せよ(大陸に併合せよ)」という意見が圧倒的多数を占めたからだ。

さあ、どう出る、蔡英文新総統?

 米中双方から挟み撃ちされている蔡英文氏は、世界中が見守る中、5月20日の総統就任演説で何を言うのか?

 中国の脅迫にしたがって「九二コンセンサス」を認め、「一つの中国」という言葉を発するだろうか?

 そのようなことをしたら、彼女が選挙中に呼びかけた言葉を否定することになり、彼女を選んだ選挙民たちを裏切ることになる。だから、それは絶対にしないだろう。民進党の党規約にも違反する。

 そこで考えられる唯一の選択は、「九二会談があったことは認める」ということと、「現状維持」を主張することだろうと思われる。それ以外に道はない。この話題に全く触れないという選択もあろうが、それではパンチがない。

 追い詰められた蔡英文氏は「私は台湾の民意によって選ばれた。だから私は民意に従う」と表明した。

 賢明だ!

 実に彼女らしい。
 

台湾の民意調査

 では台湾の民意はどうなっているだろうか?

 今年、5月13日に発表された「台湾民心動態調査(TMBS、Taiwan Mood Barometer Survey)」の調査結果を見てみよう。調査を行なったのは5月10日~11日である。

 その問いの中に「中共政府は蔡英文が520(5月20日)総統就任演説で、必ず九二コンセンサスと両岸は一つの中国に属することを言えと要求している。あなたは、蔡英文新総統がこの要求を受け入れるべきだと思いますか?」という、実にストレートな問いがある。

 まずはその回答を見てみよう。

1. 受け入れるべきだ:6.5%

2. まあ、受け入れてもいい:17.2%

3. あまり受け入れるべきではない:20.1%

4. 絶対に受け入れるべきではない:31.6%

5. わからない&未回答:24.6%

 となっている。「1+2」を大きく分けて「受け入れるべき」とすれば、「受け入れるべき:23.7%」となり、「3+4」を「受け入れるべきではない」と分類すれば、「受け入れるべきではない:51.7%」となる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EU諸国、国益の影に隠れるべきでない 妥協必要=独

ワールド

米長官、ハンガリーとの関係「黄金時代」 オルバン首

ビジネス

独VW、28年末までにコスト20%削減を計画=独誌

ワールド

英首相、国防費増額の加速必要 3%目標前倒し検討と
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したスーツドレスの「開放的すぎる」着こなしとは?
  • 2
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 5
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 6
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 9
    フロリダのディズニーを敬遠する動きが拡大、なぜ? …
  • 10
    キャサリン妃の「子供たちへの対応」が素晴らしいと…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 10
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中