最新記事

2016米大統領選

トランプ旋風支える「影のブレーン」

不動産王を大統領選挙の中心人物にしたのは35歳の不動産投資家で新聞社社主にしてトランプの義理の息子だった──

2016年4月11日(月)10時45分

 4月4日、トランプ氏(左)の娘のイバンカさん(右から2番目)の夫ジャレッド・クシュナー氏(右)は、同氏の数少ないアドバイザーとして台頭している。米アイオワ州で2月撮影(2016年 ロイター/Rick Wilking)

 ワシントンの法律事務所ジョーンズ・デイのオフィスで、不動産王ドナルド・トランプ氏を十数人の共和党議員に紹介しようとしたジェフ・セッションズ米上院議員は、1人の男性の存在に気が付いた。その男性はこの密室会談を以前から進めていたという。

 男性は35歳の不動産投資家で新聞社オーナーでもあるジャレッド・クシュナー氏。トランプ氏がさらに多くの議員を味方にできると主張し、先月開催されたその会合を持ちかけた張本人だと当時の参加者の1人が明かした。

 クシュナー氏はトランプ氏の義理の息子でもある。トランプ氏の娘のイバンカさんと2009年に結婚した。

 トランプ氏の5人の側近によれば、義理の父親同様、不動産王でもあるクシュナー氏は、トランプ氏が11月8日の米大統領選に向け共和党候補指名の獲得を目指すなかで、同氏の数少ないアドバイザーとして台頭している。

 これは極めて珍しいことだ。というのも、自分のベストアドバイザーは自分自身だと称するトランプ氏は、相談する相手は極めて少数だと語っていたからだ。その一方で同氏は、大統領に当選したら、最高の人材を雇うとの公約を表明している。

 トランプ氏の広報担当を務めるホープ・ヒックス氏は、クシュナー氏が「とても尊敬されている」ものの、選挙運動での公式な肩書きを持っていないことを明かした。また、クシュナー氏がセッションズ上院議員との会合を助けたり、イスラエルをはじめとする諸問題について、トランプ氏に対し非公式に助言を与えてきたりしたことを認めた。

 音楽出版会社の創業者で、クシュナー氏の友人であるデビット・シュルホフ氏はインタビューの中で、クシュナー氏の冷静さと人の話を聞く能力が、人の心を穏やかにする効果をもたらしていると指摘する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 9

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 10

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中