最新記事

英国

IMF「英国のEU離脱、世界経済に大きな打撃」と警鐘

EU離脱に絡むリスクに対し、国際機関による警告として最も厳しい判断

2016年4月13日(水)19時20分

4月12日、IMFは英国がEUから離脱すれば、ぜい弱な世界経済への大きな打撃となる恐れがあると指摘した。写真はEU首脳会議に出席するキャメロン英首相。2月19日撮影。(2016年 ロイター/Yves Herman)

 国際通貨基金(IMF)は12日、英国が欧州連合(EU)から離脱すれば、ぜい弱な世界経済に対する大きな打撃となる恐れがあるとの見解を示した。

 英国は6月23日にEUからの離脱の是非を問う国民投票を実施。IMFはこの日に公表した世界経済見通しのなかで、同国民投票について、中国を初めとする新興国の不安定性、先進国経済の潜在的な長期成長率の低迷、株式市場の乱高下と並ぶ主要なリスク要因と指摘した。

 IMFの見解は英国のEU離脱「ブレグジット(BREXIT)」に絡むリスクに対する国際機関による警告として最も厳しいものとなる。

 IMFは2016年の英国の成長率予想を1.9%とし、従来の2.2%から下方修正。先進国では日本に次ぐ大きな下方修正となった。英国の2015年の成長率は2.3%だった。

 IMFの首席エコミスト、モーリス・オブストフェルド氏は「6月に国民投票が予定されていることで市場ですでに先行き不透明感が出ている」とし、「英国がEUを離脱すれば、これまでに確立された貿易関係が阻害され、地域的、世界的に大きな打撃が広がる」と警告した。

 ただ同氏は欧州に流入している移民・難民をめぐる問題や、過激派組織「イスラム国」による攻撃などを受け、英国では「内向きのナショナリズムが台頭している」と指摘。ナショナリズムが高まるなか、6月の国民投票でEU離脱支持派が多数となる事態は「非常に現実的」となっているとの見解を示した。

[ロンドン 12日 ロイター]

120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

独製造業PMI、4月改定48.4 22年8月以来の

ビジネス

仏ラクタリスのフォンテラ資産買収計画、豪州が非公式

ワールド

ウクライナ南部ザポリージャで29人負傷、ロシア軍が

ビジネス

シェル、第1四半期は28%減益 予想は上回る
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 5
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 6
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 7
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 8
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 9
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中