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中国を牽制したい米国の切り札は「 同盟国」のインド

2016年3月10日(木)17時00分
アンキット・パンダ(ディプロマット誌編集者)

 問題は中国政府の反応だ。アメリカをはじめとする諸外国が南シナ海を軍事化し、不安定化していると声高に非難するのは目に見えている。

 だが中国は厳しい現実を受け入れなければならない。日米印、日米豪、日米比の3国間関係と、アメリカとASEANおよび日米印豪の4カ国関係はかつてないほど強化されている。それに南シナ海周辺で多国間の軍事的連携が進んでいるのは、中国自身がこの海域の軍事化を進めてきた結果なのだ。

 要するに、アメリカは南シナ海における中国の動きに「反応」してきただけ。先に行動を起こして南シナ海に人工島を建設し他国の漁民を追い出し、民間の船舶に体当たりしたのは中国だ。アメリカはこれまで、「航行の自由作戦」などで戦術的に対抗してきたが、今後は戦略的な対応が前面に出るだろう。

 つまり、アジアの海で秩序と国際法を守るという大義名分を掲げた同盟づくりである。

From thediplomat.com

[2016年3月15日号掲載]

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