最新記事

中国共産党

「神曲」ラップと「ギャップ萌え」で党宣伝をする中国――若者に迎合し

2016年3月4日(金)16時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

ベートーベンの「第九」にのせて党の教えを歌う市民 Xinhua/nytimes.com

 若者の活字やテレビ離れが目立ち、中共の宣伝には耳も貸さない。そこでラップや「ギャップ萌え」などで若者に党の偉大さを刷り込もうと中共は必死だ。中共「神曲」という新事象を通して、苦心する中共の内心を読む。

中共「神曲」、ラップとベートーベンで「四つの全面」を宣伝

 中国大陸のネット空間だと動画に関するアクセスが不安定な時があるので、まずはニューヨーク・タイムズ中文版で「中共"神曲"ラップとベートーベンにより"四つの全面"を礼賛」を見てみよう。

 クリックして頂くと最初にラップが出てくる。

 言っている内容は「四つの全面を知っているかい?」ということだ。

「四つの全面」とは、「小康(ややゆとりのある)社会の全面的建設」「改革の全面的深化」「全面的な法による国家統治」「全面的な厳しい党内統治」のことで、2015年2月に正式に発表された。中共はこの四つを「鳥の両翼、車の両輪」として位置付けている。
空々しいスローガンが多すぎて、党幹部にオベンチャラを言って出世しようと思っている人くらいしか関心を示さないため、「ラップ」と「ベートーベン」という、若者の耳目を引く方法を考え付いたわけだ。

 用語と手法を、少し丁寧に解読してみよう。

●まず、「神曲」

「神曲」は筆者などの年齢だと、ダンテの代表的作品である、あの『神曲(しんきょく)』のことだと思ってしまうが、ここではどうやら「しんきょく」ではなく、日本語で「かみきょく」と読ませる言葉に相当しているらしい。日本語における「神曲(かみきょく)」は、優れた楽曲について称賛の意味で使われている。

 それがなぜ「中共"神曲"」などと、「中国共産党」と関連した言葉として現れているのか。

 中国の若者に聞いてみると、中国では最初のころは「神曲」とは「人の魂を洗脳してしまうほどの効果がある歌曲」という感じで、爆発的に流行し感動を与えた曲を指していたが、そのうちネットスラングとして使われるようになり、爆発的に流行するだけでなく、「奇妙奇天烈(きてれつ)な要素が強い曲」を指すようになったという。また「神のごとき力でも持っていない限り、とてもうまくは歌えない」という意味から、「党は神のごとき存在なり」「だから洗脳できる」というニュアンスにも転用され、「いかに中国共産党が偉大で、神のごとき存在か。なぜなら、どんな嘘っぱちを言っても、人民を洗脳できるんだから」という揶揄(やゆ)も込めるようになったとのこと。

ニュース速報

ワールド

台湾中銀が下期の景気減速警戒、金利据え置き

ビジネス

米失業保険申請24.1万件に増、雇用引き締まり続く

ワールド

高層公営住宅の外壁に可燃性素材、イングランドだけで

ビジネス

ECB、金融緩和終了でも特定の国支援しない─専務理

MAGAZINE

特集:インテリジェンス戦争 中国の標的

2017-6・27号(6/20発売)

CIAの情報提供者を処刑し、日本人12人を容赦なく拘束──。スパイ戦を強化する中国インテリジェンスの最終目標

グローバル人材を目指す

人気ランキング

  • 1

    世界最恐と化す北朝鮮のハッカー

  • 2

    シリアで米軍機を撃墜すると脅すロシアの本気度

  • 3

    ドイツでタイ国王がBB弾で「狙撃」、これがタイなら......

  • 4

    D&Gが女性歌手に激怒した理由はメラニア!? 

  • 5

    気になるCMを連発、旅行サイト「トリバゴ」の意外な…

  • 6

    アジアに迫るISISの魔手 フィリピン・ミンダナオ島…

  • 7

    ISISが国家樹立宣言したモスクを自ら爆破 イラク首…

  • 8

    エリザベス女王にも愛想を尽かされた?メイ英首相が…

  • 9

    就任5カ月、トランプは馬鹿過ぎて大統領は無理

  • 10

    米イージス艦事故と映画『バトルシップ』の意外な共…

  • 1

    アジアに迫るISISの魔手 フィリピン・ミンダナオ島の衝撃

  • 2

    就任5カ月、トランプは馬鹿過ぎて大統領は無理

  • 3

    ロンドン高層住宅火災で明らかに イギリスが抱える「貧富の格差」

  • 4

    モンゴル人を大量「虐殺」 記憶遺産に値する中国の罪

  • 5

    イーロン・マスク「火星移住は生きている間に可能だ…

  • 6

    北朝鮮、米国人大学生釈放を発表 拘束中暴行され昏…

  • 7

    ISIS戦闘員を虐殺する「死の天使」

  • 8

    世界最恐と化す北朝鮮のハッカー

  • 9

    エリザベス女王91歳の式典 主役の座を奪ったのはあ…

  • 10

    身体が不自由な患者の頭をドナーの身体に移植する「…

  • 1

    ヤマト値上げが裏目に? 運送会社化するアマゾン

  • 2

    国交断絶、小国カタールがここまで目の敵にされる真の理由

  • 3

    人相激変のタイガー・ウッズが釈明 いったい何があったのか

  • 4

    大丈夫かトランプ 大統領の精神状態を疑う声が噴出 

  • 5

    アジアに迫るISISの魔手 フィリピン・ミンダナオ島…

  • 6

    佐藤琢磨選手のインディ500優勝は大変な快挙

  • 7

    就任5カ月、トランプは馬鹿過ぎて大統領は無理

  • 8

    アイシャを覚えていますか? 金正男暗殺実行犯のイン…

  • 9

    ロンドン高層住宅火災で明らかに イギリスが抱える…

  • 10

    メラニア夫人が手つなぎ「拒否」、トランプは弱って…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

日本再発見 シーズン2
ニューズウィーク試写会「ファウンダー」
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版 別冊

0歳からの教育 知育諞

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2017年6月
  • 2017年5月
  • 2017年4月
  • 2017年3月
  • 2017年2月
  • 2017年1月