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中国東北部の経済発展を阻む北朝鮮――中国の本音

2016年3月2日(水)18時59分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

中朝の分岐点、中朝国境友誼橋 Jacky Chen-REUTERS

 中国東北部の経済成長が滞っているのは、海に抜ける東側を北朝鮮に遮られているからだという不満が中国に渦巻いている。民間貿易は国境付近だけで、それも制限されれば庶民は南下し東北部はさらにさびれるだろう。

東北部の経済の全国比と衰退する理由

 2015年上半期における中国東北三省のGDP成長率は「吉林省6.1%」、「黒竜江省5.1%」、「遼寧省2.6%」と全国ランキングからいくとそれぞれ最後から1番目、2番目、3番目という、非常に不名誉なものだった。全国平均7%をひとり引き下げているのは東北三省であると中国人は嘆いている。

 2015年上半期における東北三省の財政収入変動に関しても、前年度同期の変動が全国平均6.6%増に対して、

遼寧省  :  -22.7%
黒竜江省 : -19%
吉林省  :  +0.9%

 と、軒並みに異常なほど低い。

 個人の平均年収も、全国平均が49,969元であるのに対し

東部地域:64,239元
西部地域:51,204元
中部地域:46,828元
東北地域:46,512元

 と低い。失業率も全国平均より2%高く、結果、東北の労働人口は北京、天津、河北省や山東省へと流れていき、東北部の過疎化とともに少子高齢化が極端に進んでいる。

 その原因としては、もともと石炭などの資源地域であったことと、それに伴う重工業が盛んで、改革開放前の「国営企業」の占有率が高かったため、資源の枯渇とともに改革開放を伸びやかに発展させていけないことなどがある。

 それ以上に決定的なのが、北朝鮮の存在だ。

改革開放を阻む北朝鮮の「鎖国」

 東北部の経済発展が改革開放に見合って伸びていかないのは、ひとえに岩盤のように立ちはだかっている北朝鮮が鎖国しているからだと、中国庶民の北朝鮮への恨みは大きい。

 もし北朝鮮が改革開放を推進して、南の「深圳」のような役割を果たしてくれれば、東北経済は日中韓貿易の拠点になり、東北地方は一気に大きな経済成長を遂げるだろうと、中国の多くのメディアが北朝鮮への不満をぶちまけている。

 金正恩の父親・金正日は、晩年、中国の呼びかけに応じて改革開放に乗り出そうとしたが、金正恩になってからは閉ざす方向にしか動いていない。

 まず、庶民側の声を見てみよう。

 中国政府寄りの香港メディア「鳳凰網」に「中国はアメリカより先に絶対に(北)朝鮮をやっつければならない」とするブログを載せている(作者:余以為)。

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