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中台トップ会談の結果――台湾国民は大陸を選ぶのか日米を選ぶのか?

2015年11月9日(月)16時15分
遠藤 誉(東京福祉大学国際交流センター長)

 この国共(国民党と共産党)両勢力の握手というのならば、2005年4月に胡錦濤総書記と初めて大陸に戻った台湾国民党の連戦主席が60年ぶりに握手し、2009年には同じく台湾国民党の呉伯雄・主席が大陸を訪問して、胡錦濤総書記と握手をしている。

 さらに習近平が総書記となったあとの今年5月にも、台湾国民党の朱立倫主席が北京で習近平総書記と握手しているので、国共両党の握手は1945年10月10日以降、何度かしているのである。

 特に、2014年11月の台湾における統一地方選挙が国民党の惨敗に終わったことに激しい危機感を覚えた習近平氏は、来年の総統選で何とか北京政府寄りの国民党に当選させようと、昨年末からあの手この手を考えてきた。しかし軍事パレードで脅しをかけても、台湾国民の国民党離れ(=北京政府離れ)は止まらない。

 そのための、シャングリラ・ホテルでの握手だった。

会談内容

 会談した内容は大きな問題ではなく、「大陸の政府のトップ」と「台湾の政府のトップ」が握手したことが重要なのである。「一つの中国」をコンセンサス(92コンセンサス)として連携を再確認し、「台湾の和平統一(=中国大陸への併合)」を目指すのみである。

 そのため全世界の華人華僑の世界で組織されている「中国和平統一促進会(和統会)」が、一斉に動いた。

 命令したのは北京の国務院台湾弁公室(国台弁)だ。

 筆者のメールボックスには、少なからぬ国からのメールが飛びこんできた。最も頻繁で強烈なのは、いうまでもなくサンフランシスコにある和統会だ。南京事件も慰安婦問題も、基本的にここが発信地である。

 ただそれでも一つだけ注目すべき点があった。

 それは習近平氏の方から、これまでは拒んできた「AIIB(アジア投資銀行)と一帯一路の連携」を馬英九氏に、示唆的な形ではあるが、呼びかけたことである。

 これは東アジア経済共同体への台湾の参加を意味する。台湾が「一つの中国という枠組みの中」という制限があっても国際組織に参加できることは、まさに台湾の今後の運命を決める分岐点となる。それは中国の南シナ海あるいは東アジアにおける発言権をさらに強化していくことにつながる。

 ただ、それで台湾国民が納得するのか、そこが最大の問題だ。

台湾国民の世論

 繰り返し報道される「習近平・馬英九会談」をほぼ暗記するほどBGMで聞きながら、一方では台湾にいる教え子たちと連絡を取り合った。

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