「レーベル先天黒内障」とは何か?...画期的な「遺伝子治療薬」で視力改善へ【最新研究】
From Shadows to Sight
LCAは、網膜の発達や機能に関わるどの遺伝子が影響を受けるかによってさまざまな種類がある。
現在のところ有効な治療法が確立しているのは、視覚サイクルに関与するタンパク質のRPE65をコードする遺伝子に変異がある場合だけだ。RPE65は光子を脳が解釈できる電気信号に変換する。このタンパク質がなければ正常な視覚を保つことができない。
ハービーの両親のブラッドリーとジェシカは、息子が3歳の時に遺伝子治療を始めるまでは日常生活にも苦労があったと振り返る。
「手術を受ける前は、息子は大人や年上の子供と一緒にいることを好んだ」と、ジェシカは言う。「家に帰ってきたハービーに今日は誰と遊んだのかと聞くと、先生と答えていた。私たちは少し心配だった。誰でも自分の子供には友達がいてほしいから」
視点を固定できない
RPE65遺伝子の変異に関連するLCAの小児患者は、生まれつき暗い場所での視力が弱く、明るい場所でも視力が低下する傾向がある。「空間や色は認識できて、視力検査表も見える」と、マイケルディズは言う。
2017年にアメリカ食品医薬品局(FDA)は、RPE65に関連するLCAの遺伝子治療薬「ルクスターナ」を承認した。この薬はウイルスを用いて、RPE65の遺伝子変異がある患者の網膜下に正常な遺伝子を送り込む。