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分業を選択して成功した台湾の半導体業界(1989年) ALEXIS DUCLOSーGAMMA-RAPHO/GETTY IMAGES

台湾の半導体産業は、多くの中小企業が競争し合うダイナミックなコミュニティーであり、市場寄りの産業政策のたまものと言っていい。

だがそれは過当競争をもたらし、業界全体を衰弱させる危険をはらむ。それが現実になれば、台湾のメーカーは十分な利益を上げて技術革新に投資し、世界市場の動向に適応することができなくなるかもしれない。

半導体産業の価値創造には、設計、製造、そしてATP(組み立て、検査、梱包)という3つの段階がある。

韓国、アメリカ、ドイツなどの大手半導体メーカーは、バリューチェーン(価値連鎖)に基づきこの3段階を垂直統合または水平分業したグループを形成している。それにより規模の経済を実現して、市場支配力を高めるのだ。

激しい価格競争が招くリスク

ところが台湾の半導体メーカーは、3段階の1つにしか携わらない。例えば、TSMCは半導体の製造だけを引き受け、設計や梱包はしない。2000年代初頭、台湾には315社以上の半導体関連企業があったが、どれも特殊な工程に特化していた。

こうした極度の分業システムにはメリットがある。第1に低価格を維持できる。サプライヤーの競合のおかげで、買い手は常に最も安い価格で買える。第2に「規模の経済」効果を迅速に実現できる。各社が特定の作業に特化でき、グローバル化した業界と共に成長できるからだ。

過去数十年、こうした相互依存と企業間協調の組み合わせが台湾の半導体産業の急成長に役立ってきた。だが最近、このシステムのデメリットが次第に明らかになっている。

産業組織論の分野では効率には静的効率と動的効率の2種類がある。企業がリソースの配分で黒字を最大化するのが静的効率、新たな製品やサービスで全体の黒字を増やすのが動的効率だ。平たく言えばパイを上手に焼くのが静的効率、パイを大きくするのが動的効率だ。

経済学者ヨーゼフ・シュンペーターが提唱したシュンペーター仮説によれば、大企業ほど研究開発が活発で動的効率が高いが、競争的な構造の市場ほど価格が下がり静的効率が増す。

台湾の行くべき道は2つに1つ