最新記事
睡眠

眠れぬ夜が脳を老化させる──慢性的な不眠が「認知症リスク」を約40%も高める

Sleep and the Risk for Dementia

2025年10月23日(木)13時19分
ルーシー・ノタラントニーオ(ライフスタイル・トレンド担当)
長期の慢性的不眠が認知障害の原因に

ILLUSTRATION BY N UNIVERSE/SHUTTERSTOCK

<米メイヨー・クリニックの研究チームは、不眠が脳の白質やβアミロイドの蓄積に及ぼす影響を長期追跡し、「睡眠は単なる休息ではなく、脳の回復力に関わる生命活動である」と警鐘を鳴らす>

慢性的な不眠症の高齢者は、軽度認知機能障害や認知症の発症リスクが40%高くなると警告する研究論文が学術誌ニューロロジーに掲載された。

「不眠症は翌日の気分に影響するだけではない」と、論文を執筆したメイヨー・クリニック(米ミネソタ州)のディエゴ・カルバリョは指摘する。


「私たちは思考能力の低下と脳の変化が早まることを確認した。慢性的な不眠は将来の認知障害の早期の兆候、または原因の1つかもしれない」

英ノーサンブリア大学の睡眠研究者ジェイソン・エリス教授(この研究には関与していない)は、「睡眠中に脳から毒素、特に認知機能低下や神経変性疾患に関連するタンパク質βアミロイドを除去していることは確認されている」と本誌に語った。

「従って、長期にわたる徐波睡眠(深い睡眠)の不足は、認知機能低下のリスクを高める可能性が確かにある」

研究チームは認知機能に問題のない成人2750人(平均年齢70歳)を約5年半にわたり追跡調査。被験者は調査開始時に直近の睡眠パターンを報告し、年に1度の記憶・思考テストを受けた。

そのうち慢性的な不眠を訴えた被験者は全体の16%。研究者は脳小血管病(小血管性認知症)に関連する脳組織の損傷領域である大脳白質病変と、アルツハイマー病に関連するβアミロイドの沈着物である老人斑を調査した。

投資
「FXで長期投資」という投資の新たな選択肢 トライオートFX「世界通貨セレクト」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア、EUが凍結資産を接収すれば「痛みを伴う対応

ビジネス

英国フルタイム賃金の伸び4.3%、コロナ禍後で最低

ビジネス

ユニリーバ、第3四半期売上高が予想上回る 北米でヘ

ワールド

「トランプ氏は政敵を標的」と過半数認識、分断懸念も
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺している動物は?
  • 3
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシアに続くのは意外な「あの国」!?
  • 4
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 7
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 8
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 9
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 7
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 8
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中