「太ってもいい」は嘘だった?...「ボディ・ポジティブ」の旗手たちも糖尿病薬で「お手軽ダイエット」の功罪

The Beautiful And The Damned

2025年6月5日(木)16時35分
ヘスス・メサ(本誌英語版エディター)

newsweekjp20250605055413.jpg

自宅でGLP-1受容体作動薬を自己注射する女性 LULIIA BURMISTROVA/GETTY IMAGES

今年のハリウッドの授賞式シーズンは1月のゴールデングローブ賞の授賞式で幕を開けた。男性はスーツやタキシード、女性は華やかなドレス姿で、スターやセレブがレッドカーペットを歩くこの時期、エンターテインメント系メディアは一斉に華麗な晴れ舞台の裏話を伝える。

今年の話題の中心は、セレブたちの「美ボディーの秘密」だった。本人が認めるかどうかはともかく、今や多くのセレブがGLP-1薬を使用した「GLP-1ダイエット」でスリムな体形を手に入れている。


売り上げにセレブが貢献

GLP-1薬は、製薬業界史上最もコスパのいい広告キャンペーンで売り上げを伸ばしていると言ってもいい。2022年半ば頃からセレブやインフルエンサーがソーシャルメディアでGLP-1ダイエットの体験談を発信し始め、膨大な数のフォロワーがその効果に目を見張った。

オゼンピックとウゴービを開発したデンマークの製薬大手ノボ・ノルディスクは1ドルも使わずに莫大なPR効果を得られたことになる(ちなみにマンジャロとゼップバウンドを開発したのは米製薬大手のイーライリリーだ)。

22年9月にはセレブたちが暗号化されたメッセージアプリ・シグナルで薬を使ったダイエットの情報をひそかにシェアしていると、バラエティー紙が報じた。これがきっかけで注目度が一気に高まり、雑誌「タウン&カントリー」はロサンゼルス界隈でいま最もホットな話題としてGLP-1ダイエットを紹介。

全米各地で遠隔診療のスタートアップ企業や美容系クリニックが、糖尿病患者や治療が必要な肥満症ではない人にGLP-1薬を処方するようになった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

JR東、来年3月運賃引き上げ 東京圏で特に大きく

ビジネス

TDK、4-6月期は2.5%営業減益 幅持たせた通

ワールド

南ア、30%の米関税で数万人の雇用喪失の恐れ

ビジネス

日経平均は反落、東京エレク売られる 半導体関連に波
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから送られてきた「悪夢の光景」に女性戦慄 「這いずり回る姿に衝撃...」
  • 4
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 5
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 6
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 7
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 8
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 9
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 10
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 8
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 9
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 10
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中