「太ってもいい」は嘘だった?...「ボディ・ポジティブ」の旗手たちも糖尿病薬で「お手軽ダイエット」の功罪

The Beautiful And The Damned

2025年6月5日(木)16時35分
ヘスス・メサ(本誌英語版エディター)
バービー

PETER DAZELEY/GETTY IMAGES

<肥満大国アメリカでは、セレブやインフルエンサーが「美ボディー」を目指して糖尿病薬「GPL-1」に群がっている>

フェミニストのライターとして長年活躍しティーン・ヴォーグ誌の編集長も務めたサミタ・ムコパドヤイは、自分は「ルッキズムの呪い」とは無縁だと信じていた。

ところが、たまたま記者会見の司会をしたときに、後で誰かがその写真をネットに投稿。無修正の、ありのままの自分の姿を見て「ショックを受けた」と、彼女は本誌に話した。


気になる贅肉を何とかしようと、減量にも使われる糖尿病の治療薬マンジャロを使用したところ、効果はてきめんだった。1年半で体重は15%減少。体調は良くなり、睡眠の質も改善された。だが、単純に喜ぶ気にはなれなかった。

ムコパドヤイは「ボディーポジティブ運動」の熱心な推進者でもある。

「どんなサイズであれ自分の体を愛そうと長年努力してきたのに、減量のために薬を使うなんて、『今までの主張は何だったの』と思った」と、彼女は言う。「意志が弱いから、食生活を改善し運動をして体重を減らせなかっただけじゃないかと......暗黙のルールを破った気がする」

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ムコパドヤイは薬を使って減量したことに後ろめたさを感じている SAMHITA MUKHOPADHYAY

ここ数年、肥満に悩むアメリカ人の間でマンジャロをはじめウゴービ、オゼンピック、ゼップバウンドといった糖尿病などの治療薬が話題になっている。「GLP-1受容体作動薬」と総称されるこれらの薬には食欲を抑える効果がある。

そのためハリウッドのスターやセレブたちがダイエット目的で使い始め、短期間で見違えるほどスリムになった姿をイベントのステージやソーシャルメディアで自慢げに披露。

それを見て一般の人たちも、手っ取り早く痩せられるならと、本来の用途とは異なる「適応外」の使用でこれらの薬を求めるようになった。想定外の爆発的な需要増で、販売元の製薬会社は対応に追われている。

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