最新記事
栄養

「これ、買うべき?」日本人が信じる食品情報の真実を徹底検証

2025年1月22日(水)15時30分
松永 和紀(科学ジャーナリスト) *東洋経済オンラインからの転載

池田教授は英国に留学した時に日本人の体格が貧弱であることに気づきます。

そこで、食事をもっとおいしくたくさん食べられるように、と研究してグルタミン酸ナトリウムの製法を発明しました。特許庁は、池田教授を日本の十大発明家の一人に選んでいます。

国内外で用いられるようになったグルタミン酸ナトリウムですが、1960年代、米国の医師が「グルタミン酸ナトリウムの大量摂取で頭痛や顔面紅潮などの症状が起きた」と報告し「中華料理店シンドローム」と名付けられました。


しかし、多くの研究でこの症状は否定されています。国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が合同で設置している「食品添加物専門家会議」(JECFA)も、摂取の上限量を定める必要がない、と判断しています。

化学調味料という名称が変化した理由

複数の企業が、グルタミン酸ナトリウムやしいたけ、かつおぶしなどに含まれるほかのうま味成分を混ぜた白い粉状の調味料を製造しています。各社は共同で「うま味調味料と呼んでほしい」と運動を続け、現在ではこの名称が定着しています。

うま味調味料は昔、化学調味料と呼ばれていました。NHKが、味の素という製品名を使えないために1960年代に命名したようです。当時は「化学」という言葉がよいイメージで使われていました。

ところが、公害などにより化学という言葉のイメージが悪化し、中華料理店シンドロームの話などとも合わさって「化学調味料は体に悪い」という情報になってしまった、と考えられています。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国粗鋼生産、11月は23年12月以来の低水準 利

ビジネス

吉利汽車、2.84億ドル投じ試験施設開設 安全意識

ワールド

中国とサウジが外相会談、地域・国際問題で連携強化

ビジネス

グーグルがパプアに海底ケーブル敷設へ、豪が資金 中
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中