最新記事
ファッション

人気モデルの「首吊りロープ」ドレス姿、セクシーすぎて不評...メッセージ性より「色っぽさ優先」と批判の声

2023年6月3日(土)10時57分
スーマン・ベランダニ
マフラガ・ジャベリの「首吊りロープ」ドレス

@mahlaghajaberi/Instagram

<出身国であるイランの死刑制度を非難するはずが、メッセージを込めた動画も無意味にセクシーだとして批判を受ける結果に>

カンヌ映画祭に登場したイラン出身の女性モデルが着用していたドレスが話題になっている。一見すると胸元の開いた黒のシックでセクシーなドレスなのだが、首元が首吊り(絞首刑)に使われるロープを彷彿とさせるデザインになっているのだ。母国の死刑制度について問題意識を呼び覚ますことが彼女の目的だったが、あまりに強烈で不適切だという批判の声が上がっている。

■【写真】「首吊りロープ」ドレス姿のジャベリと、彼女が公開したなぜかセクシーなメッセージ動画

モデルのマフラガ・ジャベリは、問題のドレスを着てカンヌ映画祭に参加した後、インスタグラムに「イラン国民に捧げる」とした動画を投稿。「#StopExecutionsInIran(イランの死刑廃止を)」とハッシュタグで訴えた。

イランはこの数週間、相次いで絞首刑による死刑を執行してきた。ジョー・バイデン米政権はこれを強く非難し、さまざまな人権団体をはじめとする国際社会も懸念を表明しており、イランに対して死刑執行をやめるよう呼びかけている。

5月には、18日間で少なくとも90件の死刑が執行されたという。ノルウェーを拠点とする非営利人権団体「イラン・ヒューマン・ライツ」は、この5月がイランの過去5年間で「最も血みどろの月」だったと非難した。

ジャベリの動画とドレス姿は、イランのこの問題に世界の注目を集めるためのものだった。しかし、ソーシャルメディア上でこのことが広く拡散されると、複数のジャーナリストや政治評論家から彼女への批判の声が寄せられた。

無意味なセクシー動画と情報の少なさ

左派のジャーナリストであるヤシャール・アリは、ジャベリの動画について次のように非難した。

「無実のイラン人が処刑されているなか、マフラガ・ジャベリは絞首刑用の縄が縫い込まれたドレスを着るのがいいアイデアだと考えたようだ。さらに彼女はそのドレス姿でセクシーな動画を撮影し、動画のBGMにイラン反政府デモの参加者たちを称える曲を使った。なんてみっともないんだ。動画に出てくるのは『死刑をやめろ』というメッセージだけで、それ以外には何の情報もない。何の役にも立たない!」

こうした批判の声がある一方で、ファッションを通じて問題意識を提起したジャベリを称賛する声も上がっている。ウクライナ内務相顧問のアントン・ゲラシチェンコは、ジャベリを「勇敢」だと評価し、ツイッターに次のように投稿した。

「イランでは今年だけでも200人を超える人が処刑されている。またもや勇敢な女性が現れた。政治の世界で女性が多数派ならば、これ以上、戦争は起きないのかもしれない。皆さんはどう思う?」

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米ウクライナ首脳、日本時間29日未明に会談 和平巡

ワールド

訂正-カナダ首相、対ウクライナ25億加ドル追加支援

ワールド

ナイジェリア空爆、クリスマスの実行指示とトランプ氏

ビジネス

中国工業部門利益、1年ぶり大幅減 11月13.1%
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中