<出身国であるイランの死刑制度を非難するはずが、メッセージを込めた動画も無意味にセクシーだとして批判を受ける結果に>

カンヌ映画祭に登場したイラン出身の女性モデルが着用していたドレスが話題になっている。一見すると胸元の開いた黒のシックでセクシーなドレスなのだが、首元が首吊り(絞首刑)に使われるロープを彷彿とさせるデザインになっているのだ。母国の死刑制度について問題意識を呼び覚ますことが彼女の目的だったが、あまりに強烈で不適切だという批判の声が上がっている。

■【写真】「首吊りロープ」ドレス姿のジャベリと、彼女が公開したなぜかセクシーなメッセージ動画

モデルのマフラガ・ジャベリは、問題のドレスを着てカンヌ映画祭に参加した後、インスタグラムに「イラン国民に捧げる」とした動画を投稿。「#StopExecutionsInIran(イランの死刑廃止を)」とハッシュタグで訴えた。

イランはこの数週間、相次いで絞首刑による死刑を執行してきた。ジョー・バイデン米政権はこれを強く非難し、さまざまな人権団体をはじめとする国際社会も懸念を表明しており、イランに対して死刑執行をやめるよう呼びかけている。

5月には、18日間で少なくとも90件の死刑が執行されたという。ノルウェーを拠点とする非営利人権団体「イラン・ヒューマン・ライツ」は、この5月がイランの過去5年間で「最も血みどろの月」だったと非難した。

ジャベリの動画とドレス姿は、イランのこの問題に世界の注目を集めるためのものだった。しかし、ソーシャルメディア上でこのことが広く拡散されると、複数のジャーナリストや政治評論家から彼女への批判の声が寄せられた。

無意味なセクシー動画と情報の少なさ

左派のジャーナリストであるヤシャール・アリは、ジャベリの動画について次のように非難した。

「無実のイラン人が処刑されているなか、マフラガ・ジャベリは絞首刑用の縄が縫い込まれたドレスを着るのがいいアイデアだと考えたようだ。さらに彼女はそのドレス姿でセクシーな動画を撮影し、動画のBGMにイラン反政府デモの参加者たちを称える曲を使った。なんてみっともないんだ。動画に出てくるのは『死刑をやめろ』というメッセージだけで、それ以外には何の情報もない。何の役にも立たない!」

こうした批判の声がある一方で、ファッションを通じて問題意識を提起したジャベリを称賛する声も上がっている。ウクライナ内務相顧問のアントン・ゲラシチェンコは、ジャベリを「勇敢」だと評価し、ツイッターに次のように投稿した。

「イランでは今年だけでも200人を超える人が処刑されている。またもや勇敢な女性が現れた。政治の世界で女性が多数派ならば、これ以上、戦争は起きないのかもしれない。皆さんはどう思う?」

人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に安心な水にアクセスできる社会の実現へ
人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に安心な水にアクセスできる社会の実現へ
PR
「後ろ姿を見せるのは止められてしまった」
【関連記事】