最新記事
ミュージカル

「みんな踊り出したくなる」──伝説の振付師ボブ・フォッシーの名作『ダンシン』が戻ってきた

Bob Fosse’s Dancin’ Comes Home

2023年4月1日(土)10時14分
ローレン・ジーラ

230404p56_BOB_03.jpg

『ダンシン』ではオリジナルの振り付けをベースにしつつ、ダンサー自身の人生と経験が作品に新しい命を吹き込んでいる(右端がヤニ・マリン) JULIETA CERVANTES

「そのスタイルと(踊りで表現される)言語には音楽性と活気があふれている」とモーランドは言い、「いつ見ても刺激的だし、どこか懐かしい感じもある」と続けた。

オリジナルに新しい風

よみがえったのは作品だけではない。20年以来のコロナ禍で封じられていたダンサーたちのキャリアも息を吹き返した。

実際、マリンも「ステージで踊るのは諦めて、テレビや映画の仕事にシフトしていた」と言う。

ライブが命のアーティストの常として、彼女も当時は「本当に落ち込んで」いた。でも『ダンシン』のオーディションを勝ち進むなか、ステージで「踊る喜びがよみがえってきた」。

モーランドも、パンデミックの間はステージから遠ざかっていた。仕事がないからデンバーに移り、代用教員として働いていた。

「でも、やっとダンスに戻ってこられた」。しかも最初の仕事が、ブロードウェイの『ダンシン』。文字どおりダンスが主役の作品だから「超エキサイティング」と、モーランドは言う。

古典のリバイバルでは、オリジナルに敬意を払いつつも作品に新しい息吹を与える必要がある。モーランドによれば、大事なのは「伝統を守ることと、きっぱり捨て去ること。その微妙なバランスをいかに保つか」だという。

シレント版の『ダンシン』はボブ・フォッシーの振り付けを踏襲しているが、そこに言葉や演技を加えることにより、一人一人のダンサーを際立たせ、その個性を祝福している。そこが新しい。

演技と言っても「他人のキャラクターを演じるのではない」と、モーランドは言う。「舞台で見せるのは自分自身だ」

モーランドは続ける。

「もちろんオリジナルの振り付けは尊重しているが、それを踊るのは今の時代に生きる私たちの体であり、その踊りには私たちの人生、私たちの経験が強烈に反映されている。だからこそ、今度の『ダンシン』は完璧に新しい」

この舞台を見たら、「きっとみんな踊り出したくなる」と、マリンは言う。「だって踊りは、誰にでも通じる素敵な言語だから。ほら、誰かの笑顔がみんなに伝染するのと同じよ」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米国防総省、イラン情勢にらみ中東に空母増派へ 最新

ワールド

五輪=CAS、「追悼ヘルメット」のウクライナ選手の

ワールド

米大統領上級顧問、鉄鋼・アルミ関税引き下げ計画を否

ワールド

ドイツ首相、米欧の関係再構築呼びかけ 防衛力強化の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    50歳には「まったく見えない」...信じられないレベルの「若見え」な女性の写真にSNS震撼
  • 4
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 5
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    毛沢東への回帰? それとも進化? 終身支配へ突き…
  • 8
    「ドルも弱い」なのになぜ、円安が進む? 「ドル以外…
  • 9
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 10
    「賢明な権威主義」は自由主義に勝る? 自由がない…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 6
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中