最新記事

自己啓発

賢い人はそう答えない......「相手をがっかりさせる人」が会話の初め5秒でよく言う言葉とは

2022年1月10日(月)17時20分
樋口裕一(多摩大学 名誉教授) *PRESIDENT Onlineからの転載
前向きな若い会社員たち

*写真はイメージです TAGSTOCK1 - iStockphoto


賢くない人ほどやりがちな「話し方」がある。多摩大学名誉教授の樋口裕一さんは「会話では、相手に『話の方向性』をまず見せることが重要だ。『おもしろかった』『楽しかった』という主観的な感想は避けたほうがいい」という――。

※本稿は、樋口裕一『頭のいい人は「答え方」で得をする』(だいわ文庫)の一部を再編集したものです。

一瞬で相手をがっかりさせる人の答え方

質問に対して、小学生のような答えしかできない人がいる。

仕事で講演会を聞きに行ったとしよう。帰社後、当然のことながら上司から「講演会はどうだった?」と問われるだろう。そのようなときに、「おもしろかったです」「楽しかったです」としか言わない。

課を代表して取引先主催のパーティに出席したような場合も、「料理がおいしかったです」「盛り上がりました」。打ち合わせへ出向けば、「うまくいったと思います」、出張から帰れば、「北海道は寒かったです」。

それしか言わないという点が、相手をがっかりさせていることに気づいていない。

「おもしろかったです」は小学生レベルの感想

小学生に遠足や運動会の作文を書かせると、「○○をしました、おもしろかったです」という具合に、見聞したことの羅列で終わることが多い。

その経験から何に気づいたのか、なぜそう感じたのかを文章にしてほしいのだが、そのような視点は教えてもらわないと書けない子がほとんどだ。それと同じで、質問されたときとっさに出やすいのがこうした主観的な感想だといえよう。

まずはそう答えておき、続けて詳しく話そうと思っているのかもしれない。友人との他愛ない雑談なら、それでもいいだろう。だが、ビジネスの場合、「君の個人的な感想は聞いていない」と、一瞬であきれられる恐れがある。それではあまりにもったいない。

それでも心やさしい上司であれば、「で、どうおもしろかったの?」などと尋ねてくれるだろうが、本心ではおそらくその前に答えてほしいと思っているだろう。

言うまでもなく今は、ハイスピードで情報が行き交う時代だ。世の中の動きはほぼオンタイムで手元に届き、SNSでは即座に答えが返ってくる。そういう現代にビジネスの最前線で活動しているのであれば、そこに乗っかってスピードを発揮するしかない。

まずは「話の方向性」を示す

上司からの「どうだった?」は、「きちんと報告しなさい」という意味だ。

講演会で何を発見したのか、パーティの顔ぶれはどうだったのか、契約はどこまで詰められたのかといった具体的な情報を求めて聞いている。「実際に出向いた者にしかわからないから、答える側がポイントを絞りなさい」と言っているのだ。

だから、まず答えるべきは「主観」ではなく「話の方向性」だ。大まかでよいので、これから何について答えようとしているかの概略を示せればよい。そこでキーになるのが「答えの最初のひと言」だ。

たとえば、「盛り上がりました」を「盛況でした」と言い換えてみる。「盛り上がりました」は主観的だが、「盛況でした」は視点が客観的であり、巨視的といえよう。答え方をこうしたフレーズではじめてみるだけで、幼稚な印象が消え、知的に見える。

逆にいえば、幼稚な感想しか言えないのは、「首尾よくまとまりました」「盤石です」「ご立腹でした」などの短い定番フレーズ、いわゆる大人言葉を単に知らなかったり、使いこなせていないだけという可能性もある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウクライナに兵器供与 50日以内の和平

ビジネス

米国株式市場=小反発、ナスダック最高値 決算シーズ

ワールド

ウへのパトリオットミサイル移転、数日・週間以内に決

ワールド

トランプ氏、ウクライナにパトリオット供与表明 対ロ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 2
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 3
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別「年収ランキング」を発表
  • 4
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 7
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 10
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中