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推し活の危険性...お金ではなく、推しによる自己肯定感が実は危うい

2026年2月15日(日)16時45分
印南敦史 (作家、書評家)

「推しがいない現実」を突きつけられた彼女は...

ともあれ彼女は、酒と一緒に咳止め薬を過量摂取して自殺を図るのだ。


「でも、途中で咳止め薬が足りないように感じたので、買い足しにいきました。それから、納棺師という仕事柄、死んだあとの遺体の知識がなまじあるから、エアコンの設定温度をめちゃくちゃ下げたりしましたね。当時はひとり暮らしだったから発見が遅れる可能性もあるので、そうなったときにズルズルの状態になっているよりも、綺麗なままのほうが、見つけてくれた人たちにも迷惑がかからないだろうな、って。なんか、めっちゃ計画的ですよね(笑)。わりと冷静だったと思います」(236〜237ページより)

冷静だったかについては疑問が残るし、その点も含めて行動はいろいろと分かりにくい。だが結果的には、「推し活」を通じて知り合った友人が異変に気づいたことから一命を取りとめる。

ちなみに「推しがいない現実」を突きつけられた彼女は「ヒトリエ」から距離を置くようになる。そして5年の歳月が流れた現在は、同僚から勧められたヴィジュアル系のロックバンドを推しているようだ。

現在は異性のパートナーと同棲しており、その彼は女性地下アイドルの「推し活」をしているそうだ。「推し」の対象こそ違えど、同好の士だという意識があるため納得しているという。

印象的なのは、落ち込んでいたため「早く帰ってきてほしい」と伝えていた日に、パートナーが嘘をついて地下アイドルのライブに行ったため、ブチギレたというエピソードだ。キレ方には怖い部分もあるのだが、もともと男性に興味が持てなかったのだから、それも成長だと解釈できるかもしれない。

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