最新記事
イーロンマスク

マスクは「ロイターは嘘をついている」と主張するが...低価格EV開発中止報道で揺れるテスラ

2025年6月3日(火)12時10分
 米電気自動車(EV)大手テスラが「モデル2」と呼ばれる低価格EVの開発を中止したとする昨年のロイターの報道を巡り、同社内で動揺が広がっていたことが関係者の話で明らかになった。写真は、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)。5月21日、ワシントンで撮影

 米電気自動車(EV)大手テスラが「モデル2」と呼ばれる低価格EVの開発を中止したとする昨年のロイターの報道を巡り、同社内で動揺が広がっていたことが関係者の話で明らかになった。写真は、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)。5月21日、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)

米電気自動車(EV)大手テスラが「モデル2」と呼ばれる低価格EVの開発を中止したとする昨年のロイターの報道を巡り、同社内で動揺が広がっていたことが関係者の話で明らかになった。

テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は2024年4月5日のこの報道の直後、「ロイターはうそをついている」とXに投稿した。関係者によると、低価格EVの開発を中止し、自動運転技術を用いた「ロボタクシー」事業に注力する方針を把握していた一部の幹部らは、マスク氏の投稿に混乱し真意を問いただした。これに対し、同氏は開発中止の方針に変更はないと説明したという。


しかし、一部の幹部からはマスク氏が報道を否定しても投資家や消費者はいずれ真実を知るだとうろの指摘や、2万5000ドルの新型車を待つ消費者が購入を控え、テスラの販売に悪影響が出るのではないかという不安の声が上がっていた。

また低価格モデルの開発中止を否定することが投資家を誤解させたとみなされ、米証券取引委員会(SEC)から問題視されるのではないかとの懸念も生じていたという。

マスク氏もテスラも低価格モデルの開発中止を正式に認めていない。同社の投資家向け資料によると、テスラは現在の生産ラインで製造可能な「より手頃な価格のモデルを含む新型車」を引き続き計画している。

テスラのエンジニアリング責任者のラース・モラビー氏は4月の決算説明会で、手頃な価格のモデルについて「外観や形状は当社の既存の車両に似たものになるだろう。重要なのは手頃な価格で誰でも購入できるということだ」と語った。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 韓国新大統領
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月10日号(6月3日発売)は「韓国新大統領」特集。出直し大統領選を制する「政策なきポピュリスト」李在明の多難な前途――執筆:木村 幹(神戸大大学院教授)

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシアは紛争終結へ平和支持を、ローマ教皇がプーチン

ワールド

プーチン氏、ウクライナの大規模攻撃に「反撃」 トラ

ワールド

米税制・歳出法案、マスク氏ら反対派と与党指導部の論

ビジネス

米経済活動は鈍化、関税措置で価格上昇圧力=地区連銀
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:韓国新大統領
特集:韓国新大統領
2025年6月10日号(6/ 3発売)

出直し大統領選を制する李在明。「政策なきポピュリスト」の多難な前途

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    日本の女子を追い込む、自分は「太り過ぎ」という歪んだ認知
  • 4
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    女性が愛馬に「後輩ペット」を紹介...亀を見た馬の「…
  • 7
    韓国大統領選挙、イ・ジェミョンが勝利宣言「第1の使命…
  • 8
    【クイズ】金属の錆を防ぐ「クロム」の産出量が、世…
  • 9
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 10
    支持率が下がっていると言われているトランプ、アメ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 4
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 5
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
  • 6
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 7
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 8
    ウクライナが「真珠湾攻撃」決行!ロシア国内に運び…
  • 9
    「ホットヨガ」は本当に健康的なのか?...医師らが語…
  • 10
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 9
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 10
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中