働き手「1100万人不足」の衝撃...社会にもたらされる影響と、「危機を希望に変える」企業の役割とは?

2025年1月7日(火)21時00分
flier編集部

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リクルートワークス研究所主任研究員の古屋星斗さん(本人提供、撮影=大沢 尚芳)

国際的に見ても、政府の労働政策は失業対策が中心で、雇用の創出に注力していました。一方、人手不足の対策はそれと真逆です。そのため、仕事の省力化や削減の必要性に気づきにくかったのではないでしょうか。

「働き手がお客さんを選ぶ」ことが当たり前に

──本書は2024年1月発刊後、さまざまなメディアで注目されています。半年以上が経ついま、古屋さんが、より深刻に感じている課題や変化の兆しはありますか。


「生活維持サービス(エッセンシャルワーク)」領域の人手不足は激しくなる一方です。民間企業以上に深刻なのが公務サービス。公務員の中でも技術系、清掃作業員などの現業職、警察官、自衛官などは全然足りていない状況です。教師も同様で、秋田県では小学校教員採用試験の志願倍率が1倍となってしまった。今後こうした状況が広がると、「この学校は荒れているから赴任したくない」といった教師の赴任拒否が多発するでしょう。これは、先生が生徒を選ぶ時代になったともいえます。

「働き手がお客さんを選ぶ」ことは、学校教育だけでなくあらゆる領域で起こるでしょう。一方、介護施設や物流会社などでは、解決に向けた対策をはじめた人たちがいます。こうした差し迫った状況とそれに対処する先進的な事例を広めていきたいですね。

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