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アメリカ景気

トランプ景気はもって1年、世界経済の低迷と失政で成長にブレーキの恐れ

U.S.ECONOMY

2024年12月25日(水)12時29分
ケネス・ロゴフ(ハーバード大学経済学教授)

アメリカ経済には、国外からも強力な逆風が吹き付けると予想できる。その結果としての景気後退への突入はないとしても、経済成長の足が引っ張られる可能性はある。

まず、不動産バブルの崩壊に見舞われた中国は、世界経済の成長を力強く牽引することが難しくなりそうだ。中国の金融システムの現状は、1990年代の日本を連想させる。日本経済の苦境がその後数十年続いたことは知ってのとおりだ。


一方、ヨーロッパ最大の経済大国であるドイツも苦しんでいる。ウクライナ戦争の影響により、ドイツ経済の成長の方程式を支えてきた3つの柱が崩れたためだ。

3つの柱とは、安価なロシア産天然ガス、中国への輸出、アメリカによる安全保障である。2000年代の前半に導入された市場主義志向の労働市場改革が修正され始めたことも一因になって、ドイツ経済は2023年以降、景気後退に突入している。

11月の選挙でホワイトハウスと上下両院の多数派を失った民主党は、そのダメージから長く立ち直れないかもしれない。トランプの政治に対抗する力も限られる。

民主党は中道寄りに路線転換したほうが賢明だろう。クリントン政権ほど明確な中道路線とはいかなくても、せめてオバマ政権程度の現実主義的な中道左派路線に戻るべきだ。

現在の政治状況は、民主党に対して真剣な自己内省の必要性を突き付けている。民主党は近年、人道的な国境管理や差別防止策の強化などで極端な政策を推し進めすぎたために、途方もない大きな政治的負債を抱え込んでしまった。

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