ハリス氏惨敗の背景に「アメリカ中流階級の生活苦の悲鳴」が聞こえる

CASH CRUNCH

2024年11月8日(金)13時00分
ジョシュア・レット・ミラー(本誌記者)

年収15万ドル以上でも不安

モンタナ州ハバーに住むタイラー・アズア(31)も、夫を含む10人家族の毎月の生活費はクレジットカードで支払っている。週600ドルほどになる食料品もカード払いだ。

「とんでもない状況だ」と、アズアは言う。「(カードの返済で)私と夫の給料はほとんど手元に残らない。でも、どこを切り詰めればいいか分からない。毎晩ラーメンで済ますわけにもいかないし」


アズアは事務部門の管理職だが、1月にも9人目の子を出産予定で、好況への期待感より、将来への不安のほうが大きい。「クレジットカードは3枚持っているけれど、全部限度額まで使い切っている」と彼女は言う。「そして毎月の返済額は最小限に抑えている」

一家は1月に6LDKの家に引っ越したばかりだが、将来のことは全くわからないと、アズアは言う。「子供を産み、充実した人生を送り、子供たちが親よりも良い人生を送れるようにする経済的な余裕、そういうものが今は全然ない」と、アズアは語る。

「そうなればいいなと思うけれど、現実味は乏しい」

生活に不安を抱いているのは、低所得層や中間層だけではない。6月に発表されたフィラデルフィア連邦準備銀行の調査では、年収15万ドル以上のアメリカ人の約32.5%が、向こう6カ月の家計が赤字に陥らないか心配だと答えている。1年前は21.7%だったから大幅な上昇だ。

ただ、この調査で「将来が不安だ」と答えた人の割合が最も大きかったのは、年収4万ドル以下の層で、40%に上った。全調査対象者の平均は34.9%だった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

追加利下げに慎重姿勢、インフレ懸念で─シカゴ連銀総

ビジネス

訂正-アングル:米利下げ再開で外国勢の米資産ヘッジ

ビジネス

ECBは景気停滞対応へ利下げ再開を、イタリア予算案

ワールド

ガザ支援船、イスラエル軍が残る1隻も拿捕
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 3
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 4
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 5
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 6
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 7
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 8
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 9
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」…
  • 10
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 4
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 5
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 6
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 7
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 9
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 10
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中