最新記事
BOOKS

考えが深い人になるには? 「具体」と「抽象」で世界の解像度を変える【思考法】

2024年8月8日(木)17時50分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
レンズを通して世界をのぞく

pixabay-StockSnap

<具体と抽象のベストセラー」より。なぜ、具体と抽象を理解することが思考の深さとかかわるのか?>

具体化と抽象化の概念を理解することは、今やビジネスパーソンにとって必須のスキルだが、なぜ持て囃されているのか?

日本教育研究所代表の谷川祐基氏は、教育事業に携わるなかで頭のよい人とそうではない人の違いを分析してきた。そのなかで、頭のよさとは「具体」と「抽象」の間を行き来する能力であり、世界はすべて「具体」と「抽象」で定義できることを発見した。

谷川氏の著書『賢さをつくる頭はよくなる。よくなりたければ。』(CCCメディアハウス)より、「具体」と「抽象」で定義する世界について取り上げる。

◇ ◇ ◇

「具体」を《左》、「抽象」を《右》で世界を定義する

「抽象」と「具体」を図示して説明しようとしたものを探すと、その2つの概念が「上下」に配置されているケースが多い。この場合、必ず上に抽象的なものがきて、下に具体的なものがくる。抽象的なものとは、空の上、天界のぼんやりしたもので、具体的なものとは地上のこまかいものというイメージがあるからだろう。このイメージは理解できる。

しかし本書では、あえて《左右》で表現していく。《左右》に呼び替える理由は2つある。1つは、「具体」と「抽象」とは上下関係でなく対等な関係であることを強調したいからである。

もう1つの理由は、こちらのほうが重要な理由なのだが、「具体」と「抽象」という言葉の持つ意味を広げていきたいからだ。辞書で説明されている言葉の定義を広げることで、人間の思考とは何なのか? 頭のよさとは何なのか? ということがスッキリと理解できるようになる。ここからしばらく、《左》の世界と《右》の世界を紹介していこう。

『賢さをつくる』より「具体」と「抽象の関係

具体的なことを《左》、抽象的なことを《右》に配置する。「具体」と「抽象」は上下関係ではなく、対等な関係だ

《右》ほど長期的であり、《左》ほど短期的である。

具体的な《左》ほど一部分を指し示す個別のものであって、抽象的な《右》ほど全体を指し示す。ここでの「個別」「全体」とは、空間的な小ささ大きさのように受け取れるが、別に空間軸に限る必要はない。話を時間軸に広げてもいいのだ。

具体的な《左》ほど時間軸の一部、つまりは短期間のことを指し示し、抽象的な《右》ほど時間軸の全体、つまりは長期間のことを指し示す。

予定や目標を立てるときのことを考えてみよう。だいたい、短期の予定や目標ほど具体的で、長期の予定や目標ほど抽象的になる。

たとえば、「3ヶ月で5キロやせる!」というダイエットの目標を立てたとしよう。ではこの3ヶ月の目標のために今週何をするかと言うと、「10キロランニングをする」とか「今週アイスクリームを食べるのは1回だけに我慢する」とかいう具体的な行動だ。考える期間が短期になるほど、必要になってくるのは具体的な行動だ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

韓国防空識別圏に中ロ軍機が一時侵入、戦闘機が緊急発

ワールド

中国首相「関税が世界の経済活動に深刻な影響」、保護

ビジネス

アングル:債券投資家が中期ゾーン主体にポジション修

ワールド

アングル:FRB次期議長、インフレと利下げ要求の板
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「…
  • 9
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 10
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中