最新記事
中国経済

中国の「過剰生産」よりも「貯蓄志向」のほうが問題...活発な資本市場の「特効薬」とは?

CHINA’S OVERCAPACITY

2024年4月15日(月)12時10分
姚洋(ヤオ・ヤン、北京大学教授、同大中国経済研究センター主任)

唯一実現できそうなのは、中国企業による海外投資だ。これなら過剰生産能力の軽減につながるばかりか、相手国の産業振興も支援できる。中国はさまざまな発展段階にある国を相手に、労働集約型の製品からソーラーパネルやバッテリー、EVといった先端技術まで幅広く投資を行っている。

アメリカは特に投資を歓迎するべきだ。投資には、まず緊張緩和の効果が期待できる。80年代の日本はアメリカの自動車産業に多額の投資を行い、衝突を回避した。同じように中国の投資はアメリカの再工業化を後押しするだろう。

バイデン大統領の誤った戦略により、米政府は現在、代替エネルギーやバッテリー、EVに補助金を出している。だがどんなに補助金をつぎ込んでも、こうした分野で米企業が中国の競合企業に勝てないことは遅かれ早かれ明らかになる。

地政学的緊張が増したことで、今は米中を含め多くの国々が最も望ましい進路から外れている。米中のデカップリングが及ぼす影響を考えれば、両国には世界経済を再び軌道に乗せるべくイニシアチブを取り、協力する義務がある。

©Project Syndicate

newsweekjp_20240415021128.jpg姚洋(ヤオ・ヤン)
YANG YAO
1964年西安生まれ。ウィスコンシン大学マディソン校で博士号取得(農業経済学、応用経済学)。専門は中国の経済発展と制度変化。北京大学国家発展研究院の経済学教授も兼ねる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

金融デジタル化、新たなリスクの源に バーゼル委員会

ワールド

中ロ首脳会談、対米で結束 包括的戦略パートナー深化

ワールド

漁師に支援物資供給、フィリピン民間船団 南シナ海の

ビジネス

米、両面型太陽光パネル輸入関税免除を終了 国内産業
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 5

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 8

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃の…

  • 9

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 10

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中