コラム

無料で頼みごとをする技術/I had no idea(~を全く予想しなかった)

2016年06月10日(金)16時31分

【今週のTED Talk動画】The Art of Asking - Amanda Palmer
https://www.ted.com/talks/amanda_palmer_the_art_...

登壇者:アマンダ・パーマー

 ロックミュージシャンのアマンダ・パーマーは大学卒業後、5年間ほど大道芸人として生計を立てていた。多くの人はその仕事を軽視するかもしれないが、演じる人とファンとの関係を理解するという点では、大きな収穫を得られたそうだ。彼女の考えでは、このデジタル時代において音楽はほぼタダで手に入れられるため、大道芸とあまり変わらない。そのためミュージシャンはファンから、金銭的あるいは非金銭的な支援をお願いする必要があるそうだ。

【参考記事】「ロックもラップもいずれ死ぬ」

 その哲学を用いて、新しいアルバムの制作に取りかかった時、彼女はレコード・レーベルを通じてではなく、クラウドファンディング・サイトを使って100万ドル以上の資金を集めた。この興味深いTED Talkでパーマー氏は、「人にどうやって音楽のためにお金を出させるか」ではなく、「人にどうやって音楽のためにお金を使ってもらうか」という質問の重要性を説明している。

【参考記事】定額制音楽配信――アップル、グーグルの日本参入で早くも価格競争の様相

キーフレーズ解説

I had no idea
~を全く予想しなかった
(動画2:23より)

 全く予想外で、とても驚いたことがあった時に、それを知った時点より前の状況を説明するには、I had no ideaを使います。「ちっとも知らなかった!」や「思ってもみなかった」と訳すこともできます。このTED Talkでパーマー氏は、大道芸人という職業にかつては恥ずかしさも覚えたが、結果的にはそれが音楽業界を生き抜くノウハウを得られる貴重な経験になったことは「全く予想していなかった」と示すために、I had no ideaという表現を使っています。

 ここでいくつか使用例を紹介します。

●Wow, you're at the library at 7 am. I had no idea you were such a dedicated student!
(すごい! 朝の7時なのに図書館にいるの? そんなに真面目な学生だとは思わなかった)

●I had no idea you arrived already. Sorry to keep you waiting.
(あなたがすでに来ていたとは知りませんでした。お待たせしました)

●I had no idea he was going to become famous when he grew up.
(彼が大人になったら有名になるとは全く予想していなかった)

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 異文化コミュニケ−ション、グローバル人材育成、そして人事管理を専門とする経営コンサルタント。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『シリコンバレーの英語――スタートアップ天国のしくみ』(IBC出版)、『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)など著書多数。最新刊は『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著、クロスメディア・パブリッシング)。

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